映画を観る前に敢えて情報を入れないので、映画のキービジュアルやタイトルのイメージとは異なるシリアスな内容に驚きました。物語の舞台は、1990年代初頭のロサンゼルス。1991年に起きた、黒人男性が白人警官達から理不尽な暴行を受けたロドニー・キング事件と、15歳の黒人少女が万引きと間違えられて韓国系の女店主に射殺されたラターシャ・ハーリンズ射殺事件や、1992年に起きたLA暴動の際の町の人達の様子が描かれています。ハル・ベリーが演じるミリーは、家族と一緒に暮らせない事情のある子ども達を預かる女性で、ダニエル・クレイグが演じるのは、ミリーの近所に住むクセの強い白人男性。一見いがみ合っていた両者が徐々に和解していく様子は微笑ましいのですが、根本的には人種問題が落とす影に焦点が当てられていて、あまりにも理不尽な出来事の数々に唖然とさせられます。本作には子ども達が多く登場するので、子ども目線でこの状況がどう見えているかも知ることができ、人種問題に付随して何が起きているのか視野が広がるように思います。感動するか否かというスタンスではなく、ただただ事実を目撃したという印象の作品でしたが、途中のラブシーンだけ異なるムードを放っていて可笑しかったです。このシーンはダニエル・クレイグの肉体美と色気をご堪能ください(笑)。 |
いがみ合っていた男女が徐々に誤解を解き、心の距離を近づけていく過程は共感できますが、根本のテーマは人種問題なので、ロマンチックなムードになることはあまり期待できません。この事件が記憶に残っている世代なら、「こういうことがあったね」と話題にできると思いますが、若い世代のデート向けではないように思います。1人でじっくり観るか、友達と観るほうが良いでしょう。 |
人種問題を扱った映画と聞くと難しく感じるかも知れませんが、本作には多くの子どもが登場し、彼らの目線で観られるので、キッズやティーンの皆さんにも観てみて欲しいです。子ども目線では野次馬的に盛り上がっているだけでも、事件の真相は恐ろしいものだったり、大人達の間で何が起きているのかを知ることもできて、社会勉強になる部分もあります。 |