2017年11月18日より全国順次公開
カルチュアルライフ
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ことなかれ主義の主人公がついた小さなウソが、やがて狂気へと発展していく衝撃的なストーリーです。主人公のトーマスは優柔不断で気は小さいけれど、どこにでもいる普通の中年男。しかし悲劇は、彼が家族とスキー旅行に出ることから始まります。長引く妻との倦怠期、娘の反抗期という問題を抱えつつも、娘の友人で上司の娘であるザラも連れて純粋に旅行を楽しもうとするトーマス。しかし、娘達は地元の青年に誘われてパーティーに出かけ、迎えに行った先でザラの異変に気付いたトーマスが問いかけると、彼女は青年にレイプされたと告白します。保護者として事態を収めようとするトーマスは、少しでも穏便に済ませるため小さなウソを重ねていきますが、そのせいで彼を取り巻く状況はゆっくりと歪み始めます。誰かを庇うためのちょっとした気遣いや、その場を丸く収めるための機転、自己保身のために思わず放った言葉…。ちょっとした歯車の狂いから、窮地へと追い込まれていくトーマス。この巧みな脚本は、本国のスイス映画賞で最優秀脚本賞にも輝いたそうですが、ハッキリした善悪の境界線がない物語だけに、観る側が自分のことに置き換えて考えてしまうはず。自分自身が何か悪さを犯したわけではない、むしろ状況を良くするためにとった行動が平凡な日常を混沌へと導いていくのですから、決して他人事ではありません。自分が“まとも”であると自負する人こそ、一見の価値がある作品です。 |
地味に考え込んでしまう作品で、デートで観るにはちょっと重い気がします。オススメは映画通の友人同士か、一人でじっくり観賞すること。しかし、パートナーの日常的なウソや虚言癖に悩んでいる人は、敢えてデートで本作を観て、相手にお灸を据えてみるのも良いと思います。ウソも方便とは言いますが、ときにはとんでもない負のスパイラルを巻き起こします。百聞は一見にしかずということで、それを疑似体験するにはもってこいの作品です。 |
「ウソやごまかしはいけませんよ〜」という教訓は伝わると思いますが、デートレイプという微妙な問題やトーマスを取り巻く複雑な人間関係がキッズやローティーンには少々難解だと思います。うっすら大人の事情も理解できるようになる高校生くらいになれば、脚本に描かれた繊細な人間関係も含めて楽しめると思います。 |
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2017.11.15 TEXT by min