『未来を生きる君たちへ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞したスサンネ・ビア監督と、脚本のアナス・トーマス・イェンセンが再びタッグを組んだデンマーク映画。主演は、人気海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』で不動の人気を得たデンマーク出身の俳優ニコライ・コスター=ワイルドです。
「なるほど、そうきますか」と思わされる展開が何度もあり、ストーリーの構築がすごく良くできていると思いました。赤ちゃんがいる2つの家族がどう交錯していくのか、主人公が刑事であるからこそ起こってしまう過ちが最後にどう集結するのか、予想ができないまま物語は結末を迎えます。そして、悲劇の発端にまつわる真相も明かされ、その精神的ダメージでとどめをさされるのですが、最後の最後に少し救いの手を差し伸べてくれるシーンがあり、母という存在について希望を与えてくれます。主人公は男性ながら、テーマは母性であり、母親の愛の深さと苦悩を描いた物語で、監督も女性です。北欧の風景が醸し出す寒々しい雰囲気も、サスペンスのムードを盛り上げていると言えますが、夫婦愛、親子愛を描いた人間ドラマとしてもぜひ楽しんでください。
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自分たちで赤ちゃんを持つという段階にはまだまだ遠いカップルは、完全に割り切ってサスペンスとして観れば良いと思いますが、実際に赤ちゃんがいる方やこれから作ろうとする夫婦にとっては、少々ヘビーに感じるかも知れません。でも、子どもを育てる苦労を客観視し共有意識を持つには良い内容だと思います。敢えて旦那さんと一緒に観て、子育てについて話をするきっかけにすると良いでしょう。 |
ストーリーはシンプルなのでついていけないことはないと思いますが、子ども目線でこのストーリーを観ると少々複雑な気持ちになってしまいそうです。中学生くらいになれば、客観的に観られると思うので、大人は大人なりに頑張っているんだなと、大人の心情を想像しながら観てもらえればと思います。正しいことではないにしても、なぜそんなことをしてしまうのかを考えながら観ると、愛する人を守るために人は過ちを犯してしまうこともあると、少し理解できるようになるでしょう(それを良しとすべきと言っているわけではありませんが)。 |