「オリヴァー・ツイスト」や「大いなる遺産」などを遺したベストセラー作家、チャールズ・ディケンズの名作「クリスマス・キャロル」誕生の裏側を描いた物語。スランプに陥っていた彼がいかにしてこの不朽の名作を生み出したのかを、ファンタジーを織り交ぜて描写しています。経済的にも精神的にも苦しいなかで創作に励もうとするディケンズの姿をそのまま描けば、とても重いムードになったと思いますが、「クリスマス・キャロル」に登場するキャラクター達がディケンズの目の前に姿を現したり、ディケンズ自身が子煩悩で子どもの前では明るく振る舞っている様子が描かれていて、軽快さも感じられます。こんなにベストセラー作家になっても、いやベストセラー作家になったからこそ、苦悩が大きいのだと思いますが、誰にでも苦しい時期があるのだと、彼がもがく姿はとても共感できる部分があります。「クリスマス・キャロル」という本が、それまでのクリスマスの概念を変えたというところにもとても心を打たれ、改めて文学が持つパワーや、文化が社会を変えるのだということを実感します。自分は皆のために一生懸命働いているのに、周囲には理解されないと悲観的になっている時こそ、観ると勇気づけられる作品です。 |
玉の輿を狙っている方、逆に玉の輿を期待されている方のカップルは、ぜひ観て欲しいです。成功を手に入れても、必ず苦しい時があります。本作はベストセラー作家として成功したチャールズ・ディケンズのスランプ時の苦悩を描いていますが、家族には経済的に困窮していることを告げられずにいたり、ディケンズの親が彼を頼ってきたり、どこの家庭にも出てきそうな問題が描かれているので、ぜひ結婚を前提に交際しているカップルは一緒に観て、いろいろな苦労を2人で乗り越えられるのかシミュレーションしてみてください。 |
「クリスマス・キャロル」を読んだことがある人もない人も、観るとより小説のほうにも興味がわくでしょう。本作のストーリーは大人向けではありますが、もしかしたら皆さんのお父さん、お母さんも、子どもには見せないこんな姿があるのかもと想像できると思います。成功者は華やかな部分だけにスポットが当てられますが、こういう試練も乗り越えて、どんどん大きな存在になっていくのだということもわかるので、観て損はないと思います。 |