2012年6月9日より全国公開
ティ・ジョイ
公式サイト
日韓双方の教科書に載る実在の日本人、浅川巧の物語を映画化した本作。浅川巧は山梨県出身で1891〜1931年に生存、日本が韓国を併合してから4年目の1914年に林業を営むために朝鮮半島に渡り、民族の壁を超え、周囲の偏見や反発に屈せず、朝鮮人との親交を行った数少ない日本人で、彼の純粋な心と、信念が本作に描かれています。私はこの人物のことも、こんなことがあった事実も知りませんでしたが、日本が朝鮮半島を支配していた当時のできごとには、まだまだいろいろあるんだなと思いました。 心から植物を愛し、土地を愛し、その土地に暮らす人を愛するということを、純粋にやり遂げた浅川巧。彼の純粋過ぎる純粋さは観ていてハラハラする部分もありますが、ここまでできる人はいません。そういう意味で本当に浅川巧はすごい人だと思ったし、彼と堅い友情を結び、共に日韓の親交のために信念を貫いたイ・チョンリムもすごいです。中盤で浅川巧の朝鮮の人たちへの厚意は、一見、相手に真意が伝わっておらず、ただの鴨にされているだけなのかも知れないと観ている側も不安になりますが、そんなことをおかまいなしで人に親切にする姿は見習わなければいけないなと思いました。彼の姿に心を洗われるような気がしました。自分の心の貧しさを客観視させられる映画だし、彼のような気持ちを自分のなかにも持ちたいと思わせてれくれる映画です。 |
日韓の暗い史実も描いているし、感動はありつつ、社会派映画なので、ウキウキなデートで観るテンションではありませんが、浅川巧という人物の心の大きさや純粋さを感じて、周囲に優しくなろうと思えるきっかけになるかも知れません。なので、最近お互いに冷たく接してしまうとか、ケンカの休戦中で仲直りまではできていないカップルには良い緩和剤になるかもしれません。あとは、自分の彼氏や旦那がやたらと人に優しすぎると不安な人は、この映画を観ると、彼の優しさが周囲を幸せにしていると少し理解ができるようになるかも知れません。優しすぎる彼はこの映画にどう反応するのかも、観賞後の会話がちょっと楽しみですね。 |
©2012 「道〜白磁の人〜」フィルムパートナーズ
2012.6.17 TEXT by Myson