2017年1月27日より全国公開
ロングライド
公式サイト
こういう映画を観るたびに、いかに自分は恵まれた時代、環境に生まれたんだろうと自覚します。本作は、女性が参政権を持っておらず、自由な思想や発言が許されなかった時代に、すべてを犠牲にして闘った女性達の実話を映画化したもの。物語の舞台は1912年のロンドン。貧富の差が激しい社会で、主人公モードは劣悪な環境の洗濯工場で夫のサニーと共に働いています。男女のあいだでも、女性はより劣悪な仕事を担当させられていて労働時間も長く、賃金は安い。おまけに工場長に気に入られてしまうと、セクハラにも耐えなければいけない。そんな状況のなか、女性参政権運動を展開するWSPU(女性社会政治同盟)に出会ったモードは、女性、そして自分があるべき姿に気付いていきます。警察だけでなく夫までも彼女の行動を抑制しようと、幼い息子まで利用するなか、彼女が取った決断とは?妻として、母として、1人の女性として、彼女の選択は大変難しいものでした。本来、女性は強くて賢い。なのに社会進出を阻まれ、人生を犠牲にしなければいけないのは、妻であり母であるからというなら、それほど理不尽なことはありません。そして、未だ男性優位の社会であるとはいえ、現代日本で私達女性がどんどん社会で活躍できる場を得られるようになったのも、あらゆる時代、国の女性が闘ってくれたからだなと、もっと有り難みを感じなければと思いました。自分は女性だからといろいろ妥協してきた方、本作を観て奮起してください。 |
男性は感情移入しづらい内容だとは思いますが、敢えて一緒に観て、彼の反応を見てはどうでしょうか?フェミニストまではいかなくても、女性の社会進出に理解があるかどうかを知る上で、鑑賞後に感想を述べ合うと有意義でしょう。結婚を意識しているなら、なおさらそういう価値観は確認しておいたほうが良さそうです。 |
キッズにはまだ難しい内容かも知れませんが、参政権について学校で習ったら、観てみると良いでしょう。母と幼い息子のストーリーは観ていて辛くなる部分もありますが、もし自分の母親がこういう状況だったら、その心境や行動を理解できるかどうか想像してみる事は良い事です。皆さんのお母さんも1人の人間であり、お母さんという役割以外の部分に人生があります。大人になるにつれ、だんだんそこは理解できるようになると思いますが、映画を観ることでもそういう視点が得られると思います。 |
関連記事:
■TJE Selection イイ男セレクション/ベン・ウィショー
■TJE Selection イイ男セレクション/ブレンダン・グリーソン
© Pathe Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2015. All rights reserved.
2017.1.10 TEXT by Myson