2017年3月31日より全国公開/R-15+
ファントム・フィルム
公式サイト
黒人社会のなかでセクシャル・マイノリティとして生きることは、計り知れない辛さがあるのだなあと実感させられるだけでなく、一方で誰もが愛に救われる存在であることが描かれていて、そんななか主人公が負けずに強く生きていく姿に、とても心を打たれました。貧困、ドラッグ、犯罪…という逃れにくい負の要素に囲まれながら、人間としての尊厳をどう保ち続けるのかというのも1つのテーマになっていると感じましたが、主人公のシャロンに手を差し伸べるフアン(マハーシャラ・アリ)や、シャロンの唯一の親友ケヴィンの姿にも、それが投影されているように思いました。これはシャロン達の世界に限らず、私達の世界にも通じることで、生き伸びるための選択がいつも善であるなんて綺麗事。でも、そうあろうとする心を捨てず、もがきながら成長していくからこそ、シャロンやケヴィン達により共感できました。シャロンの美しく孤独な心が、ムーンライトに照らされた映像美に投影されていますが、彼の存在そのものがムーンライトのように、影からそっと人々の心を照らしているようにも思えて、彼が自分を曲げずに生きていくからこそ、周囲の人も生き方を正そうとしているように見えました。いろいろな解釈ができそうですが、そういう点も本作の魅力ではないかと思います。とにかく、あらゆる点で美しい作品です。 |
とても素晴らしい作品でデートでも観て欲しいと思いますが、誘う相手がセクシャル・マイノリティについて偏見を持っているのかどうかは事前に知っておいたほうが良いでしょう。偏見を矯正するために見せるわけではないですが、この点の価値観の不一致が気になる人は、相手の偏見の原因が無知なだけなら、敢えて一緒に観て語り合うことで、こういった問題への理解が少し深まるのではないでしょうか。 |
R-15+なので、15歳未満の人は観られませんが、観られる年齢になったらぜひ観て欲しい秀作です。いじめに苦しみ、自分が同性愛かも知れないと戸惑い、父はおらず、母親にも頼れず、食べるものもままならない毎日を過ごす主人公の姿を、3つの時期に分けて描いている本作は、それぞれの成長期特有の心情をリアルに描写していて、ティーンの皆さんも共感しやすいストーリーになっています。親友と観に行くのも良いし、1人でじっくり観るのも良いと思います。 |
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2017.3.21 TEXT by Myson