2018年5月25日より全国公開
ギャガ
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薬丸岳の原作は、“神戸連続児童殺傷事件”から着想を得ているそうですが、本作は、その“少年A”だけでなく、犯した罪に縛られて生きている人々の群像劇となっていて、加害者、被害者、傍観者…いろいろな立場の人間の視点で描かれています。中学生の時に小学生2人を殺害した少年Aの物語と聞くと、好奇な目で観てしまう部分は少なからずありますが、出所した彼がどんな生活を送るのか、本作で想像させられると、何とも複雑な気持ちになります。彼が犯した罪は一生絶対に許されることではありませんが、人間にはいろいろな側面があって、本人や周囲がどの部分を信じるのかによって、運命が変わると思うと、少年Aに救いの手を差し伸べる人が、当時も今もいないとしたら、彼一人の罪なのだろうかとも考えてしまいます。生田斗真が演じる益田は、誰しも経験するであろう罪を背負っている部分で、観客の視点に一番近いと思えるキャラクターですが、彼が抱える罪こそ、償う術がないという点で、とても皮肉で、胸が痛みます。心がないようでいて、実はとても繊細な鈴木というキャラクターも、瑛太が見事に演じていて、どんな罪を犯したとしても、同じ人間であるという実感を湧かせます。「罪を犯した人間は幸せになってはいけないのか?」というテーマが根底にありますが、答えが出ない問題だからこそ、心を揺さぶられる作品です。 |
とても重いテーマなので、デートの雰囲気を盛り上げてくれることは期待できませんが、本作を観た感想に人生観が表れると思うので、敢えてデートで観るのもアリだと思います。初デートにはヘビーだと思いますが、何度か映画を一緒に観たことがあるなら、大丈夫でしょう。頭が固い人、聞く耳を持たない人が、強い先入観を持って観ると、感想に寄っては、恋が冷める可能性もあるので要注意です。 |
キッズにはまだ難しいテーマですが、中学生以上なら、ぜひ観て考えて欲しい内容です。幼い頃や学生の頃って、自分を守ることに必死で、誰かを傷つけてしまうこともあると思いますが、その罪がどれほど重いのかを本作で想像すると、今後の人間関係に役立つこともあるでしょう。犯してはいけない罪は罪で理解しつつ、人間のあらゆる可能性にも目を向けて欲しいと思います。 |
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© 薬丸 岳/集英社 © 2018映画「友罪」製作委員会
2018.5.9 TEXT by Myson