2014年11月8日より全国公開
彩プロ
公式サイト
本作は、姉の安藤桃子が監督し、妹の安藤サクラが主演を務める、上映時間196分で送るロードムービー。姉妹がタッグを組んでいるというだけでも話題性がありますが、父の奥田瑛二がエグゼクティブ・プロデューサー、母の安藤和津がフードスタイリストとして関わり、さらに安藤サクラの義理の両親(二人の長男である柄本佑が安藤サクラの夫)である柄本明、角替和枝も出演しているという意味でも興味深い作品です。姉妹揃ってインタビューをさせて頂いたときにもお話にありましたが、姉にしか撮れない安藤サクラが映し出されています。家族に囲まれての撮影は大変だった部分もあると思いますが、他の作品で演じているタイプの役柄とはイメージが違う、かわいらしい表情がたくさん見てとれました。今作での役柄もかなり強烈なのですが、エキセントリックな部分だけでなく、普通の女性がふと見せる素顔の部分もとても自然に出ていたように思います。 物語は、介護士のサワが、ある日とんでもない依頼を受け、そのことがきっかけで人生が一変し、住むところを求め旅に出るというもの。道中で出会う老人に声をかけ、初めは強引に彼らのお世話をする代わりに住まいを得るという方法で生きていくサワ。いくらお世話をしてくれるとは言え、こんな人がいきなり家に押しかけてきたら、相当怖いと思いますが、サワが言うことは正論なんですよね。だから余計に太刀打ちできずに怖いというのがあるのですが、ある種ダークヒーローだなと思いました。でも彼女がただ強いというキャラクターではなく、結局彼女も誰かと関わって生きていたいんだなというのが伝わってきて、家族の絆、人間の絆とは何かを問うストーリーになっています。おじいちゃんのお世話をしながらのロードムービーと聞くと地味に聞こえるかも知れませんが、前半、後半に大きな山場があり、衝撃の展開が待っています。196分に及ぶ作品ですが、一見の価値はありますよ! |
デートで観るのもありだと思いますが、デートムービーというムードの映画ではありません。内容的にかなり見応えはありますが、上映時間が196分なので、他にいろいろメニューを考えているデートの日には向かないでしょう。介護というテーマが含まれていますが、「介護って大変ね」というようなお涙頂戴のストーリーではありません。実際に介護に携わる方が観るとまた違った視点でおもしろいと感じる部分もあると思うので、介護で大変な思いをしている相手を誘ってみるのも良いかも知れません。 |
キッズには少々刺激が強い部分もあり上映時間がかなり長いので、もう少し大きくなってから観ましょう。ティーンは充分に理解できると思いますが、ここに描かれている、家族の絆、血の繋がりのない人同士の絆、お年寄りなど、いろいろなテーマについて考えてみるきっかけにすると良いでしょう。 |
関連記事:
■安藤サクラ、安藤桃子監督インタビュー
© 2013 ZERO PICTURES / REALPRODUCTS
2014.10.29 TEXT by Myson