2018年12月14日よりNetflixにて独占配信開始
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1970年代のメキシコを舞台に、中産階級家庭の使用人として働く若い女性クレオ(ヤリッツア・アパリシオ)の視点を軸に、社会の変化、クレオを雇っている家族、クレオ自身の変化を辿っていくストーリーとなっています。優しさと苦しさが同時に漂う独特の世界観で、物語は静かに流れていきます。日常を淡々と描いているので、一見起伏は穏やかなのですが、クレオ個人にとっては大きな出来事があり、また雇い人の家族に訪れる辛い出来事も重なって、“家族とは何か”“幸せとは何か”“女性が生きる上で正しい決断とは何か”といろいろ考えさせられます。ネタバレになってしまうので、具体的には言えませんが、すべてを抱え込んでしまったクレオのクライマックスでのひと言がすごく秀逸。何事も受け入れ、不服も言わず、周囲のために尽くしているクレオが放ったその言葉に、彼女の罪悪感、苦しみが込められているように感じましたが、彼女が罪悪感を抱える必要はなく、彼女が抱えていた不安や恐怖がいかに大きなものだったかを想像すると、共感せずにはいられません。本作の優れている点の一つは、セリフがごく限られていて、説明的なところがないにも関わらず、ふとした日常のたったひと言で大切なことを表現しているところだと思います。また、途中にはユーモラスなシーンもあり、愛嬌を感じさせる不思議なシーンがたくさん。アカデミー賞で作品賞を含む10部門ノミネートも納得です。 |
物語のなかで男女関係のもつれが出てくるので、カップルで観るのは少々気まずいかも知れません。また、見た目に静かな物語でモノクロなので、映画を観慣れていない人にはハードルが高いように思います。心にじんわりくる内容なので、1人でじっくり観るほうが、世界観にどっぷり浸かれるのではと思います。 |
135分という上映時間でモノクロ、物語も日常を淡々と描いていて、日本で有名な俳優さんも出ていないので、キッズやティーンの皆さんには、ちょっとハードルが高いのではないでしょうか。主人公のクレオが若いので、大学生くらいなら共感できる部分もありそうですが、いろいろなタイプの映画鑑賞に慣れてから観ても良いと思います。 |
2019.2.25 TEXT by Myson