2014年10月4日より全国公開
ギャガ
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製作・脚本・編集がキム・ギドク、監督はキム・ギドクに抜擢された若手新鋭のイ・ジュヒョンが本作で初の長編に挑戦。キム・ギドクが好きなのと、テーマに惹かれて観ましたが、本当に素晴らしい出来でした。北朝鮮に実の家族を残し、家族のために韓国で諜報活動を行う、他人同士のスパイで構成された偽の一家が主人公。冒頭は緊張感たっぷりに始まるので、これがキム・ギドク監督作ならずっとこういうテンションなんだろうなと思ってしまいますが、意外や意外コミカルなシーンも多く、だからこそ衝撃的なラストの感動をさらに煽ります。「まさかあのシーンがラストにこう繋がるなんて」という、伏線の活かし方も見事。同じ民族ながら長年対立している韓国と北朝鮮の人たちの辛さは完全に理解することはできませんが、本音を言葉にできない人たちの心、国を問わず持っている人間の心、そして家族愛を映し出す描写に感動しました。先日来日したイ・ジュヒョン監督にインタビューをさせて頂き、韓国での思想教育や、キム・ギドク監督の本作への思いなどもお話を伺ったので、良ければインタビュー記事も読んで頂きつつ、ぜひ観てください。 |
物語のテーマや内容はデート向きとは言えませんが、かなり見応えのある作品で、どんな人が観ても心に響くものがあると思うので、2人とも興味があるなら一緒に観ても良いと思います。北朝鮮と韓国の問題がベースにありつつ、描かれているのは人間ドラマであり、家族愛、人間愛です。人が生きていくためには、血の繋がりに関係なく、寄り添う人が重要であることを描いているので、お互いの大切さについても客観視できるかも知れません。 |
内容としては、高校生以上の方向けだと思いますが、社会問題に興味がある人なら、中学生でも理解できるでしょう。小学生にはまだ難しいかも知れません。とにかく、まずは北朝鮮と韓国の関係性について基本的なことを知ってから観ましょう。本作の主人公一家には女子高生がおり、この若さで本当の家族と離れ離れでスパイ活動を行うという状況はとても想像できませんが、逆に家族と普通に暮らせることがいかに幸せなことかは実感できると思います。家族の大切さ、平和な日本に暮らすことの意味を考えながら観てもらえればと思います。 |
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■イ・ジュヒョン監督インタビュー
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2014.9.22 TEXT by Myson