2019年1月18日より全国公開
ファントム・フィルム
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心に抱えたものを文章として書くことで癒されつつ、書いたことで傷が深まるというのがとても皮肉で、J.D.サリンジャーの繊細さを実感するのはもちろん、人間の脆さをすごく痛感します。サリンジャーが隠遁生活を送っていた理由はこういうことだったのかとわかるストーリーなのですが、彼にとっての“書く”という行為は私達が思っている以上に高尚な行為だったこと、戦地でのトラウマがいかに重くのしかかっていたかということも物語っています。「ライ麦畑でつかまえて」という作品の背景を細かく知ることもでき、ただの小説ではないなと改めて知らしめる内容で、同作を読みたい衝動も掻き立てられます。若き日の恋人ウーナがチャーリー・チャップリンと後に結婚したのにも驚きましたが、アメリカ史に名を残す各界の人物が登場するのも本作の見どころの一つだったり、文章を書く仕事をされている方が特にハマるであろうツボもたくさんあるので、いろいろな視点で楽しめます。 |
ロマンチックなシーンもありますが、全体的に孤独なサリンジャーの苦悩にフォーカスが当てられていて、ぶっちゃけ重い内容です。自分の深い部分を掘り下げるきっかけとして観るタイプの作品なので、相手や自分が繊細な性格の場合、かなり主人公に深入りしてしまい、デートという感覚から遠のいてしまう可能性があります。1人でじっくり観るか、仲の良い友達を誘って観るほうが良いでしょう。 |
いつまでも少年のようなピュアな心を持っていたからこそ傷付きやすく孤独だったサリンジャーに、キッズやティーンの皆さんは特に共感できると思いますが、彼の陰と陽のどちらの部分にフォーカスするかによって、観終わった後の影響が大きく変わりそうです。キッズやティーンの皆さんのような多感な時期にこの作品や、小説「ライ麦畑でつかまえて」を読むと、どんな心境になるのか想像がつきませんが、私は出会って損はない作品だと思います。 |
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2018.12.19 TEXT by Myson