あらすじはなんとなく知っていましたが、もっとロマンチックな物語かと思いきや、結構コミカルで笑えるシーンが多く楽しかったです。精神的に不健康で神経質で潔癖症の恋愛小説家メルビンが、ひょんなことから隣人の犬を預かることになり、始めは嫌々だったのにだんだん犬がかわいくなっていき、彼に変化が起こり始めます。彼が変化し始めることで、周囲も変わり始め、以前から唯一心を許していた、行きつけの店のウェイトレスのキャロルとの距離が近づいていくのですが、不器用な彼は失言が多すぎて、それがかなり笑えます。「いくら本心で悪気がなくても、やっぱり言うべきでないことってあるよなあ」とつくづく実感したし、自分が言われたら相当へこむけど、端から観る分にはかなり滑稽です。他にもメルビンの行動がいちいちおもしろいので要注目です。 そして、本作で一つのテーマになっているのが良心。主人公メルビンのキャロルへの行動は、始めは良心からではないけれど、その様子を見ていると、善行にはいろいろなパターンがあるんだなと思いました。メルビンは始めは性格も悪く、共感できる理由で人助けをするわけではないですが、偽善ではないというところでとても共感できます。この映画には人を信用すること、人に頼ること、人を理解すること、人を愛すること(恋愛以外も含め人間的に)が描かれていて、楽しいだけでなくとても有意義な映画です。 あと、若いグレッグ・キニアがなかなかかっこいいのでご注目(笑)。 |
2012.12.20 TEXT by Myson