2010年11月27日より全国順次公開
アルシネテラン
公式サイト
7歳の娘リザと、息子リッキーが可愛くて仕方がありませんでした。リザを演じたメリュジーヌ・マヤンスちゃんは当時8歳で、リッキーを演じたマルチュール・ペイレちゃんは当時、生後数ヶ月の赤ちゃんだったことを考えると信じられないと思える演技です。というかリッキー役マルチュールちゃんは演じているという意識はなかったと思いますが(笑)。リザ役メルチュールちゃんは名演で、彼女の演技がこの映画の良さを引き立てています。家族を繋ぎ止めているのはリッキーだったかも知れないけれど、リザが1番家族のことを思っていて、そんな姿が愛おしくて切ないんです。大人よりも子供の方がよっぽど大人だなと感心しました。 そして、フランソワ・オゾン監督のセンスの良さが光る本作。ファンタジーの中にシニカルな部分をユーモアたっぷりに描いていて、奇想天外な展開を見せるので最後まで楽しめます。リッキーに生えてくる翼が始め見た目がグロいのですが、そういった「綺麗にし過ぎない」ところがとても好きです。「翼」と捉えると才能や能力、「人と違う物」と捉えるとハンディキャップとも解釈できますが、それを母としてどう受け止めるのか、世間はどう見るのかを考えさせる点がおもしろいです。結末についてもどう解釈するのか、観た人次第ですが、私は翼を才能だとは思いつつ、ハンディキャップだとも思っていて守るのに必死だった母親が翼を持つ息子に待っている将来を信じたという結末なのではないかと思いました。とにかく、女性に観て頂きたい要素が詰まった作品ですのでぜひ。 |
女性視点が強い作品だと思いますが、作品そのものは誰が観ても楽しめる内容です。リザとリッキーの子供が本当に可愛いので、子供好きなカップルが観ると癒されると思います。あとお子さんがいるいないに関わらず、夫婦で観るとおもしろい作品なのではないかと思います。我が子の将来をどう捉えるか、親としてどういう選択をするか、母と父で考え方が分かれますが、そういう一面を客観視できるので参考になります。抽象的ではあるけれど、親目線で観ると考えさせられるポイントが多く描かれています。ただはっきりとした結論はなく、観る側に委ねられていますので、そういう映画が好きなカップルなら楽しめると思います。若いカップルはファンタジーとして、大人のカップルや夫婦は現実的な一面を観て楽しんでください。 |
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2010.10.19 TEXT by Myson