2016年3月26日より全国公開
東映
公式サイト
上映時間180分と聞いてしまうと、観る前に構えてしまいますが、全くそんな長さを感じさせないくらいにおもしろくて、やっぱり岩井俊二は天才だなと実感しました。どの監督の作品を観るときもそうなのですが、悲しいかな、どうしてもこの監督の作品ってこんな感じだろうと展開を推測しながら観てしまったにもかかわらず、前半はそういう予想が裏切る展開で、本当にハラハラドキドキするストーリーに没頭させられました。なのに、いつの間にかお馴染みの岩井俊二ワールドに転換していて、これまたしてやられた感があり、前半と後半のコントラストが憎い構成でした。黒木華が演じる主人公のどうしようもない危うさに前半はイラッとしつつも、後半では秘めた強さに共感も覚えて、いつの間にか引き込まれてしまっていましたが、岩井俊二作品に複数出ている蒼井優と黒木華の雰囲気がとても似ていて、監督の世界観に合うタイプの女優の傾向もわかる気がします。そういった意味では、『PiCNiC』『スワロウテイル』のchara、本作のcoccoの起用も通じる部分がありますね。人生や人間のなかにある絶望と残酷さ、輝く部分を同時に描く岩井俊二監督作。今回もお見事でした。あと、紀里谷和明監督もおもしろいカメオ出演をしているのでお見逃し無く。観る前から長さに圧倒されず、ぜひ観てください。 |
きわどいシーンは出てこないという意味ではデートで観ても心配はないのですが、前半は今どきのカップルを描いていて、主人公と同じようなきっかけで出会ったカップルは心を乱されて、微妙な空気になるかも知れません。また長さを感じさせないおもしろさではありますが、3時間という上映時間なので、集中力の持続が期待できない相手を誘うとしんどいでしょう。存分に楽しむには、映画好きの同性の友達か1人で観る方が良いように思います。 |
3時間という長さだし、ステキなストーリーではありますが内容が重いので、キッズにはまだ厳しいでしょう。人間の弱さや孤独、絶望や希望、いろいろな内面があぶり出されたストーリーですが、ティーンの皆さんの繊細で純粋な心なら、共感できる部分も多いと思います。頭を使うよりも心で観て欲しい作品です。 |
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2016.3.22 TEXT by Myson