2014年3月15日より全国公開
熱帯美術館
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本作はエミール・ハーシュ、スティーヴン・ドーフ、ダコタ・ファニングが共演、2012年ローマ国際映画祭で観客賞、最優秀脚本賞、最優秀編集賞、オンライン批評家賞の4部門を受賞した作品です。 幼くして孤児になってしまった兄弟が支え合って生き、成長したのちの話なのですが、お互いに支え合っているとも言えるし、縛られているとも言える関係が切なく描かれています。子どもながらに辛い現実を乗り越えるために2人が使っていた手段は、お話の世界に思いを馳せること。弟が考えるストーリーを兄がイラストにしてという物語の設定がそのまま、映画の構成に取り入れられていて、実写とイラストが融合したおもしろい構成でした。実写で映像化してしまうと生々しくなり過ぎて微妙なシーンやグロくなりそうなシーンもイラストで描いていることでうまく作られています。原題は“THE MOTEL LIFE”、邦題は『ランナウェイ・ブルース』ということで、タイトルから想起させる本作の解釈を考えてみたのですが、原題も邦題も、兄弟が自分たちの生活を守るためにモーテルで暮らしているということに軸を置いていて、この生活自体が“逃亡”です。見た目の現実世界ではひき逃げ事件で警察から逃げていることをさすと思いますが、実際は現実から目を剃らしていることが“逃亡”を意味していたのではと考えました。観る人によって解釈がいろいろ出てくると思いますが、そこが本作のおもしろさだと思います。 |
ラブストーリーはちょっと苦い部分もありますが前向きさはあります。ムードを上げる内容というのではないですが、チラシやポスターが醸し出すフィーリングが2人の好みに合いそうなら、上映時間も85分と短いのでフラッと入って観るのも良いでしょう。セクシャルなシーンやグロいシーンがありますが、そういうシーンはイラストで描いていて、うまく構成されているので気まずくなるほどではありません。ただ、ストーリーはかなり陰鬱なので終始高めのテンションで過ごしたいデートの日には向いていないでしょう。 |
イラストとはいえ、ちょっと刺激が強いシーンがあるので、キッズには向いていないでしょう。わかりやすい派手なストーリーではありませんが、ティーンなら若さゆえの不安や孤独、無力感など、共感できる点があると思います。作品の空気感に浸って観て欲しい作品なので、一人でじっくり観てみるか、同じような感性を持つ友だちと観に行くと良いでしょう。 |
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■TJE Selection イイ男セレクション/エミール・ハーシュ
©2012 Motel Life LLC
2014.3.12 TEXT by Myson