2017年7月29日より全国順次公開
ファインフィルムズ
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妻を亡くした男性と、事故で昏睡状態に陥った女性が紡ぐ、ファンタジックな人間ドラマ。主演を務めるのは、福島第一原発事故をモデルに描いた問題作『パンドラ』や『無頼漢 渇いた罪』などで注目を浴びるキム・ナムギルと、実際に起きた女子中学生暴行事件を基にした『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』や『哭声/コクソン』などの衝撃作で高い演技力をみせつけたチョン・ウヒ。 保険調査員のガンスは、仕事のため交通事故の被害者であるミソの病院を訪れ、そこで青い服を着た女性と出会います。しかし、実はこの女性はミソで、どうやらガンスにしか見えていないようです。ミソにとってガンスは、唯一自分の存在を知る相手。2人が自然と打ち解けていくなか、互いの過去や心に抱えた傷が、少しずつ紐解かれていきます。メガホンを執ったのは、別れを前にした男女の複雑な感情を描く『愛してる、愛してない』や、運命的に惹かれ合う男女を描いた『男と女』のイ・ユンギ監督。大袈裟な感情表現やドラマティックな展開を排除し、頬を伝う一筋の涙や、美しい朝焼けの風景といったさりげないシーンのなかに、登場人物達の深い愛と切ない思いを描いていきます。真実が明るみになるにつれ、静かな感動が胸の奧いっぱいに広がると同時に、心が浄化されるような温かい余韻を残す作品です。 |
ロマンスが主体のストーリーではありませんが、夫婦愛や親子愛など、さまざまなカタチの愛が描かれる作品です。相手を思うがゆえのすれ違いや、愛するからこそこじれていく人間関係に、胸を締め付けられます。視覚障がい者のミソは、幽体離脱(?)しているときだけは目が見えています。それは、彼女にとって一見幸せなことのようですが、ミソ自身は生きて愛する人に触れるほうが幸せだと感じます。この描写から受け取るものは人それぞれだと思いますが、愛する人と共に生きる喜びがストレートに伝わってくる気がしました。観賞後は気持ちを切り替えるのに少し時間がかかると思いますが、ぜひ2人でその余韻も楽しんでください。 |
ちょっぴり不思議なストーリーは、キッズやティーンにも好まれそうです。妻を亡くしたガンスは、その事実に向き合うことを避けているようで、映画の途中までは、妻の死の原因も、彼が悲しんでいるのかどうかも、観客には見えてきません。しかし、終盤でガンスと妻のストーリーが明るみになると、そこから一気に彼の感情が伝わってきます。その辺りの機微がキッズにはまだ難しいかも知れませんが、ティーンになればきっと理解できると思います。 |
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2017.7.26 TEXT by min