2014年6月21日より全国公開
マジックアワー
初っ端から「このお母さんは厄介だな」と思わせるシーンを盛り込みつつ、徐々に「この親にしてこの子あり」という展開で一旦観る者を共感から遠ざけるのですが、クライマックスに差し掛かり、この親子の真相は見た目とは異なる側面を持つのではという期待感を抱かせ、世間一般とは違うけれどこれも親子愛の一つの形だという表現で締めくくっています。難しいことは何一つなく、親離れ、子離れ、愛情表現の問題点を描いた人間ドラマで、周囲を見渡せばどこにでもいる親子像を描いています。でも、こうして映画になってみると、こういうどこにでもいそうな家族の問題は根が深く、本人たちはとても不幸なのだろうと想像できます。「母の愛は偉大で素晴らしい」はずなのに、簡単にそうもいかない状況は、まだ母になった経験がない私が観ても辛いと感じました。愛と依存は紙一重。きっとこの母と息子は無意識に依存関係にあるんだなと思いました。年齢に関係なく、子どもを守ってやることってどういうことなのか、いろいろと想像させられました。第63回ベルリン国際映画祭で金熊賞(最高賞)と国際映画批評家連盟賞W受賞の本作、ぜひご覧ください。 |
特別デート向きという内容ではないですが、もし彼氏や旦那が母親から強く干渉を受けていて悩んでいるような状況なら、一緒に観に行ってみてはどうでしょうか?子ども目線からも母の目線からも客観視できるので、相手に対する理解が少し深まって、今後の関係性を解決するヒントが見つかるかも知れません。そういう悩みがないカップルでも、今後結婚を視野に入れている方は二人で見に行くと良いと思います。自分たちが親になったときのことなどを一緒に想像してみてください。 |
大人向けの映画なので少し解釈が難しい心理描写もあるかも知れませんが、キッズやティーンの皆さんはまだまだ親との接点が多い環境下にあると思うので、充分に理解できる内容だと思います。示し方や態度が正しいかどうかはさておき、親は親で愛情を持って接しているということ、子どもも子どもで自立しないといつまでも親は自分を子ども扱いして離れてくれないということを少しでも理解できれば、今後成長していくにつれ、親とどういう距離を保てば良いのか少しイメージできるかも知れません。 |
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2014.6.17 TEXT by Myson