2018年12月21日より全国順次公開
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世界初公開の素材をふんだんに使い、マリア・カラスの人となりを収めた本作では、世界的オペラ歌手として今も語り継がれる彼女の知られざる素顔を観ることができます。すごく繊細な性格だったのもうかがえますが、見えないところで傷つきつつも、敢えて沈黙し堂々と振る舞うスタンスがとてもカッコ良いし、やはりその強さに惹かれます。そしてマリア・カラスといえば、ギリシャの大富豪で海運王として知られるアリストテレス・オナシスとの恋の真相が気になるところですが、彼が突然ジャクリーン・ケネディ(ジョン・F・ケネディ大統領の未亡人)と結婚した時の彼女の心情が収められている手紙が紹介されていて、2人の切っても切れない関係に共感できます。また、こんなに偉大なスターでもやはり避けられない困難にぶつかり、表に出さなくてもすごく悩み苦しんでいたのだという裏側を知ることができるし、歌手としてだけでなく、女性としてどう生きるのか、母となる選択肢があるのかどうかなど、彼女の考えも語られていて、これは現代の女性にも共通する部分があり、すごく親近感が湧きます。私もマリア・カラスを知らない世代ですが、1人の女性の生き様を観るというスタンスで誰でも楽しめる作品です。 |
女性は特に共感する点が多く、男性もそれなりに楽しめるとは思いますが、この作品のどこにフォーカスして観るかによって、誰と観ると楽しいかが変わってきそうです。歌う姿も多く収められているので、オペラを観る感覚で観るならデートで観るのも良いと思いますが、彼女の生き様を目にして自分の人生についてもじっくり考える視点で観るなら1人でじっくり観るほうが良いでしょう。 |
マリア・カラスについて少しでも知っていて興味があるなら、年齢を問わず観てみると良いと思いますが、あまり知らない場合は、キッズやティーンの皆さんが観てもまだピンとこない部分があるかも知れません。ドキュメンタリー映画ということもあり、観慣れていない感覚もあると思うので、もう少し大人になってから観るほうが楽しめると思います。 |
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