2015年10月31日より全国順次公開
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本作は、ファッションデザイナーとして知られるアニエス・ベーが、アニエス・トゥルブレという本名で初監督と脚本を担当した作品です。監督がアーティストということで、最初は抽象的な物語だったらどうしようと、ちょっとドキドキしましたが、きちんとしたストーリーがあり、そのなかでアーティスティックな世界観を上手く融合させていたので、すごく上手いなと思いました。ただ途中で登場した謎のダンサー達だけは、唯一私の感覚では何を象徴していたのかが理解できませんでした(苦笑)。 物語の主人公は12歳の少女で、彼女は父親から性的虐待を受けています。本作はそんな自分の状況に耐えかねた彼女が、家出をしてトラックの運転手と共に旅をするというロードムービーとなっています。観ていると、「見ず知らずのおじさんに付いていってはいけない」と昔に習ったことを思い出しましたが、彼女のような境遇で身の危険がどこにあるのかを考えると、彼女の行動は決して否定できません。でもそんな真相を知らない父親以外の大人は、彼女を必死に探し、トラック運転手を誘拐犯として扱う、その構図が観ていてとても切なくなりました。 サスペンスではないのに、観る側をこんなにハラハラさせる映画を作った、監督にやっぱり一番すごさを感じます。アニエス・ベーの映画監督としての今後も楽しみです。皆さんもまずはぜひ本作をご覧ください。 |
オシャレなアート系の映画が好きなカップルには特にオススメです。アニエス・べーの世界観や物語のおもしろさを二人で堪能できるでしょう。逆に普段アート系の作品を観ないカップルでも、ストーリーの軸がしっかりある分、観やすいと思うので、いつもとは違うオシャレなデートがしたいときは、ぜひこの映画を選んでください。観終わった後は、アニエス・べーについて一緒に調べたり、映画の世界観とファッションデザイナーとしての世界観を比較したりしてもおもしろいと思います。 |
キッズもティーンも観られますが、できればキッズは性的虐待がどんなものかを知って、小学校高学年以上になってから観て欲しいと思います。ティーンは少女の幸せについて考えながら観てください。もちろん彼女のように見ず知らずのおじさんに簡単に付いていってはいけませんが、もし彼女のような状況に置かれたらどうするべきか考えてみましょう。ちなみに最近は、知らないおじさんだけではなく、知っている人でも危険な可能性があるということで、「誰かに付いていくときは、誰かに必ず知らせる」と教えているそうですよ。 |
©Love streams agnès b. Productions
2015.10.27 TEXT by Shamy