シーズン1
2016年10月5日リリース/レンタル同時
(左記はセル用DVDBOXジャケット)
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コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルの実話をもとに描かれたストーリーで、オープニングには実際の本人の映像らしきものも映りますが、一応ドラマの最初に“事実に着想を得た創作であり、人物、場所、事件等は架空のものです”といった表示が出ます。でも、ちらっと調べてみたところ、実際の固有名詞らしきものがそのまま使われている箇所が多く(もちろん脚色やドラマオリジナルの人物はいると思いますが)、大まかな出来事は実話通りなのではないかと思うと、ゾっとしてしまいました。本当にこんなことが他国で起きていたんだと思うと信じられません。麻薬王エスコバルが裏社会だけでなく国政も牛耳ってしまっていた当時のコロンビア(本作では1989年頃が舞台になっています)は、まさに無法地帯で、パブロ・エスコバルとあらゆる敵対勢力の攻防戦が淡々と描かれていくのですが、やられたらやり返す頭脳戦は緊張感が途切れることがありません。彼が麻薬王ではなく、まともなビジネスマンになっていたら、どんなに良かったかと思いますが、ルール無用でのしあがっていったエスコバルのような人間は、やはり裏稼業だったからこそ成功したと言えるし、根っからの悪党のリアルな姿を見せつけられる内容でした。さらにこういう状況下では、彼以外にもいろいろな種類の悪がはびこります。物語はエスコバルを中心に描かれつつ、彼を追うDEA(アメリカの麻薬捜査局)の捜査官の語りで展開されていき、それぞれの立場によって、善悪の見え方が変容しますが、完全な善はここでは存在できないと納得せざるを得ない気持ちになります。こういう一種の諦めの感情がコロンビアの国民達にもあったのかなと想像してしまいますが、それでも自国を愛する気持ちは強いという点が、平和ボケの日本人とは違うとも感じました。
2016年10月7日、コロンビア内戦終結に向けて尽力した同国のフアン・マヌエル・サントス大統領に、ノーベル平和賞が授与されましたが、まだまだコロンビアの情勢は不安定なようですね。本作でコロンビアが今までどんな状況だったかを垣間見たことで、平和への道のりが長く、まだまだゴールにたどり着けていないのも納得です。海外ドラマは、エンターテイメント色が強いものが多い印象ですが、ここまでリアルに迫り、社会派なドラマは貴重だと思います。ライトユーザー向けではありませんが、映画や海ドラを観慣れている方には見応えがあるのでオススメです。
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ナルコス 大統領を目指した麻薬王DVD-BOX
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2016.10.17 TEXT by Myson |