世界的に大ブームを起こした海外ドラマ『ダウントン・アビー』が劇場版になり再び話題になっていますが、本シリーズでマギー・スミスが演じたバイオレット役の声優を務めた一城みゆ希さんにインタビューをさせて頂きました。一城さんのお話からも、この作品の素晴らしさが伝わってきたとともに、声優さん達の熱い思いも伝わってきました。それくらい魅力的な作品なんだと改めて感じました。
<PROFILE>
一城みゆ希(いちじょう みゆき):先代グランサム伯爵未亡人 バイオレット(マギー・スミス)
アニメから実写洋画まで幅広いジャンルで声優を担当。洋画では、サンドラ・ブロック、ジェイミー・リー・カーティス、ミシェル・ファイファー、サリー・フィールド、デミ・ムーアなど人気俳優の声を多く務めてきた。
この番組は計算じゃできないんです!
マイソン:
吹き替えをする役は、キャラクターの要素と女優さんが持つ要素との両方で構成されるものだと思うのですが、バイオレット役を吹き替える上では、どんな役作りをされたのでしょうか。
一城みゆ希さん:
マギー・スミスさんの声を担当するのは初めてだったので、台本を開けた時に、「私がマギー・スミス!?」ってビックリして、ものすごくプレッシャーを感じました。私達の仕事というのは、役に合わせて声を作るわけではなくて、今回のバイオレット役も、自宅でリハーサルをした時に、マギー・スミスさんが出てきたシーンで、最初にパッと自然に出た声があの声だったんですね。それで収録の日に、まずその声を出してみました。それで演出家から何か言われたら、変えなければならないですが、演出の伊達さん(東北新社の伊達康将氏)は何もおっしゃらなかったんです。ということはこれで作っていけば良いんだなって。あとは、マギー・スミスさんが演じているのを見て。距離感とか、下を向いている、上を向いている、斜めを向いている、遠くを見ているというところから芝居が変わってくるじゃないですか。そうやってとにかく素直に素直にっていう思いで、マギー・スミスさんの場合は演じさせて頂きました。
マイソン:
なるほど〜!バイオレットはすごく名台詞が多くて、観ていて気持ちの良い役だなと思いました。
一城みゆ希さん:
あの方はとても皮肉っぽく聞こえるじゃないですか。だけど、それがやっぱりバイオレット伯爵夫人の素晴らしいところで、マギーさんの作り方の素晴らしいところなんです。皮肉っぽく言っているんだけど、どこかお茶目で、優しさがいつもあるんです。
マイソン:
そうですよね。ストーリーを伝えるっていうところで、吹き替えは日本人にわかりやすいように演出されている部分もあると思うのですが、今回ドラマ版を吹き替えで観て頂くにあたって、1番の魅力を教えてください。
一城みゆ希さん:
出演者の皆様が本当に素晴らしいんですよ。皆さんのバランスが良いんです。演出の伊達さんが素晴らしい配役をしてくださったので、聞いていて気持ちが良いですし、チームであり、家族なんです。ドラマの中でも、私達(バイオレット達)は上の階に住んでいますけど、下の階の使用人の皆さんも家族なんです。その家族一人一人、例えばロバート(グランサム伯爵)とベイツさん(伯爵付従者)が初めて会ったのは戦場で、一緒に戦っていたっていうシーンがあって、ベイツさんはそれで足を悪くしたって言っているけど、それでもロバートは彼を従者にする。足が悪いがために彼はギプスをものすごい大枚を出して買ったんだけど、そのギプスが合わなくて血だらけになって頑張っているシーンがシーズン1であったんですね。その時にヒューズさんがおかしな様子に気付いて、「何でこんなことをするの?」って言って、ギプスを投げさせるっていう。そんな風に皆それぞれが愛し合っていて、ここはもう全員が家族愛を持っているんです。ドラマ版はシーズン1から6までの各シーズンで、一人ひとりを丁寧に、本当に全員にフィーチャーして描かれているので、それで劇場版を観ると納得するんですよ。だから、「どうしてこうなったのか」っていうところをやっぱりシーズン1から観て頂きたいなって。観ないともったいないですから。
マイソン:
本当に一人ひとりのキャラクターが活かされてますよね。では、演じていておもしろいと感じた点はどんなところでしょうか?
一城みゆ希さん:
これは皆さん観て頂くとわかるんですが、ああしようとかこうしようとか細かいことなんて何も考えていないんですよ。本当にパッと感じたものを演じただけで。たぶん他の皆さんも計算でやっていないと思います。計算じゃできないと思います、この番組は。今までの歴史があるからその歴史で成長させて頂けた私達全員だと思っています。ここに全員呼びたいくらいチームが素晴らしいです。劇場版はご覧になりましたか?
マイソン:
はい、ドラマも全部観ました。
一城みゆ希さん:
ありがとうございます!! お得意様ですね(笑)。劇場版は劇場版ですごいの!これ1本観ただけでも素晴らしいんです。でもシーズン1から6までは伏線がいっぱいあるんです。それが素晴らしくって。だから劇場版をご覧になった方はスターチャンネルさんに加入して観て欲しいなって。そうするともっと『ダウントン・アビー』の素晴らしさがわかるんじゃないかなって思うんです。
マイソン:
まさにそうですね!今日はありがとうございました!
2019年12月18日取材 PHOTO & TEXT by Myson
『ダウントン・アビー』全6シーズン
【日本語吹き替え版】2020年1月27日よりBS10 スターチャンネルにて毎週月曜夜10時から2話ずつ放送他
【字幕版】2020年1月22日よりBS10 スターチャンネルにて毎週水曜夜11時から2話ずつ放送他
企画・製作総指揮・脚本:ジュリアン・フェローズ
出演:ヒュー・ボネヴィル/エリザベス・マクガヴァーン/マギー・スミス/ダン・スティーヴンス/ジム・カーター
第一次世界大戦勃発直前の1912年。英国イングランド地方の田園に建つ“ダウントン・アビー”で暮らす貴族グランサム伯爵一家にタイタニック号沈没の知らせが届く。グランサム卿の跡継ぎに予定されていた人物が乗船していたと聞き、一家と召使たちは騒然。グランサム卿には娘しかおらず、邸宅や財産を引き継ぐのは遠縁に当たる人物になってしまう。そうして、グランサム卿の財産をめぐる熾烈な争いが幕を開けた…。
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