飛ぶ鳥を落とす勢いで大活躍中の髙石あかりさんにインタビューをさせていただきました。『ゴーストキラー』は、“ベイビーわるきゅーれ”シリーズでタッグを組んできた、園村健介さんが監督を務め、阪元裕吾さんが脚本を担当しています。アクションとコメディとホラーが融合した本作のユニークな設定の主人公をどのように演じたのかというお話には、髙石さんの演技力の高さの秘訣がうかがえました。
<PROFILE>
髙石あかり:松岡ふみか 役
2002年12月19日生まれ、宮崎県出身。2019年より本格的に俳優活動を開始し、映画『ベイビーわるきゅーれ』(2020)で主演を務め注目を浴びる。“ベイビーわるきゅーれ”が人気を博しシリーズ化されると共に、『わたしの幸せな結婚』などの演技で高評価を得て、2023年、第15回TAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞した。2024年だけでも、『きみの色』(アニメーション/声の出演)、『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる』『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』『スマホを落としただけなのに~最終章~ファイナルハッキングゲーム』『私にふさわしいホテル』と多数の映画に出演。2025年は、テレビドラマでは、『御上先生』(TBS)にレギュラー出演、『アポロの歌』(MBS)でW主演を務めるほか、アニメ映画『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』や『夏の砂の上』の公開、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK/2025秋放送予定)でヒロインを演じることが決まっている。
完全に感情の流れを作っていかないと、そこには辿り着かない

マイソン:
今回演じる主人公のふみかは、二人一役のようなユニークなキャラクター設定となっています。できあがった作品を観て、「こんな風になったんだ!」みたいな驚きはありましたか?
髙石あかりさん:
あります。このシーン、結構シリアスなんだとか。最初、工藤(三元雅芸)が登場するシーンも、シリアスというかホラー寄りにするんだろうなとは思いつつ予想以上で、すごくおもしろかったです。私、試写を観ながらずっと笑ってたんですよ。「な、なんという作品なんだ!」と思って。作品の中の人達は全然笑い事じゃないかもしれないけど、お客さん目線で観た時にすごく楽しめたのが良かったです。
マイソン:
確かにキャラクター目線だと笑い事ではないですが、観客目線だと、怖いシーンもあれば、笑えるシーンも豊富ですよね(笑)。アクションはスピード感があって、接近戦が多かった印象です。今までもいろいろアクションをやってこられて、日頃気をつけていることはありますか?

髙石あかりさん:
やっぱり一番大事なのは感情だなと思っています。どうしても途中から振り付けになるし、慣れてくるし、それはお芝居でもそうなんです。何度も同じシーンをやっていたら慣れてきちゃうので、それを忘れて壊すということをすごく大切にしています。感情を切り替えて改めてやってみると、全然違ったりもするので。もちろん技術のところで気をつけることもたくさんありますけど、繊細に緻密にというか。だから、何が一番っていうと感情なのかなと思います。
マイソン:
確かに動きだけに集中しちゃいそうですね。
髙石あかりさん:
振りだけになっちゃうので。
マイソン:
深いですね。今回の役柄のおもしろさ、難しさをどんなところに感じましたか?

髙石あかりさん:
ふみかは共感しやすいのかなと思います。ふみかの周りで物事がどんどん進んでいくけれど、ふみかはそのスピードについていけないところとか、観客の皆さんも観ていてふみかと同じ感覚になると思います。でも、ふみかは感情の起伏があるので、「ふみか!」って驚く瞬間もあるかもしれません(笑)。そこは、ふみかの性格として楽しんでいただければと思います。でも、恐怖があるのに、恐怖を持ったまま恐怖に近づいていくっていうところは、勇気と覚悟がすごく必要ですし、そういうところは彼女のカッコ良いところだなと思います。
マイソン:
憑依されている状態とふみか自身で切り替わるシーンは、どうやって撮ったんですか?
髙石あかりさん:
一発撮りです。カットはしていないので。
マイソン:
え〜!

髙石あかりさん:
同時に交互に演じています(笑)。
マイソン:
すごい(笑)!楽しめたのか、苦労したのかでいうと、どうでしたか?
髙石あかりさん:
めちゃめちゃ大変でした。やっぱり、お芝居をする上で大切なのって、相手が話した言葉をしっかり受け取って、そこで感じた思いが膨らんで言葉が出る。その言葉を受けて相手も言葉を返す。その繰り返しなんですけど、今回はその二人を自分一人で演じるってこともあって、自分がふみかとして発した言葉を自分に憑依している工藤として聞いて、感情が動いて工藤として話して、その言葉をふみかとして聞いてという感じで、ものすごく難しかったです。撮影に入る前は何度も何度も計算してというか、一言ひとこと、緻密に繊細に組み立てていく作業は、今までにない経験ですごく難しかったです。でも同時に、その難しさが楽しかったです。お芝居をしていて、そういう自分が越えられないものだったり、超えたい高いハードルがあると、そこから生まれる楽しみみたいなものがたくさんあるので、ありがたかったです。

マイソン:
お話を聞いていて、演技一つひとつに丁寧に取り組んでいらっしゃると感じたんですけど、もともと俳優さんを目指して芸能界に入られたんですか?
髙石あかりさん:
はい。俳優になりたいって言い始めたのは保育園児の頃でした。
マイソン:
何かきっかけがあったんですか?
髙石あかりさん:
当時放送していたドラマの『花より男子』を観て、井上真央さんに憧れていたみたいです。
マイソン:
当時から、人と人の掛け合いというか、演技に集中して観ていた感じですか?

髙石あかりさん:
いえ、まったく(笑)。当時はまだ俳優とかお芝居とか何も知らないので、「俳優になりたい」って言ったら、みんなが「ワー」って言ってくれるとか、ただただそういうことだったと思います(笑)。卒業文集に載っていたり、映像に残っていたりするぐらいで、記憶はありませんが、そう言っていたみたいです。
マイソン:
いずれにしても当時から思いは変わらず、ここまできたってことですね。今はお忙しいので時間を作るのが難しいと思いますが、普段映画はご覧になりますか?
髙石あかりさん:
映画館がすごく好きで、時間がある時は観に行っています。映画館という空間がすごく好きです。
マイソン:
すごく影響を受けた作品ってありますか?

髙石あかりさん:
『オッペンハイマー』はすごく衝撃を受けました。感情を揺さぶられるってこういうことなのかなとか。自分で感情のコントロールをするのが得意なタイプなんですけど、『オッペンハイマー』を観た時は、湧き出てくる感情を抑えられなくて。作品を観てそんな経験をするのは初めてでした。だから、すごく衝撃で、きっと自分の中で残っていく作品になるだろうなと思いました。
マイソン:
いろいろな作品に出て、さまざまなキャラクターを演じていらっしゃいますが、普段から人間観察をされてそうだなと思いました。
髙石あかりさん:
よくしています。人が好きなので人間観察は好きです(笑)。なので、歩いている人の歩き方を真似したり、電車に乗っている人の表情に合わせてみたりしています。
マイソン:
思わず目が行く人ってどんな人ですか?

髙石あかりさん:
人とはちょっと違う人のほうに目が行きがちかもしれません。「へ〜、そんな表情するんだ」とか、「撮られてないんだぞ」「撮られてないのに」とか、「そんな困り眉をするんだ、人って」とか思いながら観ています(笑)。意外と人間って表情豊かなんだなって思います。
マイソン:
そうなんですね(笑)!次に髙石さんの演技についてお聞きします。たとえば、『遺書、公開。』だったら、ギュンって変わるところがあるじゃないですか。その瞬発力がすごいなって観ていてびっくりしたんですけど、リアリティーと娯楽のバランス感覚ってとるのが難しいのではと思うんです。リアリティーを残しつつ、映画だからこそ見せる感情に持っていかなければいけない時、どんなことを意識していますか?

髙石あかりさん:
流れです。完全に感情の流れを作っていかないと、そこには辿り着かないですし、そこをおろそかにしてしまうと、たぶん違和感に繋がる。でも、違和感は作りたくないですし、あとはその感情があるからこそ、そこにいくっていう説得力を意識しています。やっぱり人って人をすごく観ているので、「今なぜここで切り替わったの?」って感じた時に、「あ、さっきあの表情してたから」っていう、その人間の波を観ている人も絶対掴んでいると思うので、そこは丁寧に自分の感情に嘘をつかないようにやりたいなと思いながら演じていました。
マイソン:
確かに観ている側は無意識に流れで判断しているかもしれないですね。では最後に、この作品をどんな方に観てもらいたいですか?

髙石あかりさん:
日頃のモヤモヤやうっぷんが溜まっている方は、ふみかと同じ目線で奇妙な世界を観ていただくと、スッキリできて、発散できるところがたくさんあるので、気軽に劇場に足を運んでいただきたいなと思います。
マイソン:
本日はありがとうございました!
髙石あかりさん:
ありがとうございました。よろしくお願いします。
2025年2月17日取材 Photo& TEXT by Myson

『ゴーストキラー』
2025年4月11日より全国公開
監督:園村健介
脚本:阪元裕吾
出演:髙石あかり/三元雅芸/黒羽麻璃央/井上想良/東野絢香/川本直弘/アベラヒデノブ/倉冨ナオト/木部哲/一ノ瀬竜
配給:ライツキューブ/配給協力:ティ・ジョイ
ストレスの多い日々を送っていた大学生の松岡ふみか(髙石あかり)は、ある日の帰り道で転んだ際に使用済みの銃弾の欠片を拾う。その時から、血まみれの服を着た男の亡霊(三元雅芸)がたびたび目の前に現れるようになり…。
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©2024「ゴーストキラー」製作委員会
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情報は2025年4月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。