今回は『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』で晩年のシャーロック・ホームズを演じたイアン・マッケランさんに電話インタビュー!早くからゲイとしてカミングアウトしたイアンさんは、「自分に対して誠実に正直にいて初めて、息子として兄弟として友人として、より良い存在になれたと感じました。役者としても良くなったと言われることもありましたが、それは自分自身であることに自信が持てたからだと思います」と語っていましたが、そんなイアンさんにとって演じることはどんなことなのか、聞いてみました。イアンさんは優しく明るく話してくださり、なんだかガンダルフと話している気分でした(笑)。
PROFILE
1939年5月25日、イギリス生まれ。舞台や映像作品で半世紀以上にわたり活躍し、50以上の国際的な演技賞に輝いた彼は、その功績から、1990年にナイト爵を授けられ、さらに2008年にはエリザベス女王より名誉爵位を授与されている。1996年、製作と共同脚本も務めた『リチャード三世』(1995年作品)で、ヨーロッパ映画賞男優賞を獲得し、1998年には今作『Mr.ホームズ〜』の監督でもあるビル・コンドンと初めてタッグを組んだ『ゴッド・アンド・モンスター』でアカデミー賞主演男優賞に初ノミネート。その後も世界の多くの映画賞でノミネート、受賞している。“X-MEN”シリーズのマグニートー役、”ロード・オブ・ザ・リング””ホビット”シリーズのガンダルフ役でも世界的に人気。ほかの主な出演作は、『プレンティ』『スキャンダル』『私に近い6人の他人』『恋の闇 愛の光』『ゴールデンボーイ』『ダ・ヴィンチ・コード』『ウルヴァリン:SAMURAI』など。
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マイソン:
“X-MEN”シリーズのマグニートー役、”ロード・オブ・ザ・リング””ホビット”シリーズのガンダルフ役、そして今回のシャーロック・ホームズなど、役そのものが印象の強いキャラクターを演じていますが、役に対してどんなアプローチをされているんでしょうか?
イアン・マッケランさん:
まず演劇の世界で「ハムレット」「リチャード三世」「リア王」など何千という役者さんが演じている役を自分も演じてきているので、今回のシャーロック・ホームズという役に関して特別新しいと感じることはありませんでした。でも、この役で演じ甲斐があったところは、誰もが知っているホームズを演じることができると同時に、誰も知らなかった本当のホームズを演じることができたところです。
マイソン:
作品選びのコツはありますか?
イアン・マッケランさん:
監督が誰であるか、脚本が良質なものであるかということですね。僕はテイスト的には幅広くて、超大作であろうとインディーズであろうと、どちらでも構わないんです。笑えるもの、悲劇的なもの、メロドラマ、何でも構わないし、映画、テレビ、演劇、何でもおもしろいと思えばやるタイプです。だから一番大事なのはクオリティで、観客の方が「イアン・マッケランが選んだんだ」ということでその作品を信用してくれたり、どんな風にその作品に僕が貢献しているのか観たくなるような作品を選びます。
マイソン:
10歳の少年ロジャー役のマイロ・パーカー君の演技も素晴らしかったですが、子役の方と共演して新鮮だなと感じたこと、刺激を受けたことはありましたか?
イアン・マッケランさん:
自分が若かった頃、年配の役者さんとお仕事をするのはとても楽しかったんですが、その頃から年齢って関係ないんだなと、非常におもしろいなと思っていました。「同じように平等に、人と人として演技ができる」というおもしろさは、年を重ねた今も変わっていませんが、若い方と演技をするのはとても楽しいです。今回共演したマイロは、とてもリアルな存在としていてくれたので、共演シーンも助かったよ。
マイソン:
では、役者をしていて(演じることで)一番おもしろいと思うことは何ですか?
イアン・マッケランさん:
ハハハハハハ(笑)。自分は何年も演技をしてきて、演じることは怖くはなくなりました。演じていて楽しいし、人生のいくつかのエリアにおいて、そういう自信を感じられる一つは演技です。ただ、役を頂いたときに、それを果たして自分は演じられるのか、100%自信があるわけではありません。その旅(過程)をいつも楽しんでいます。言い換えれば、自信はあるけれども、挑戦でもあるというところかな。
2016年3月18日より全国順次公開
監督:ビル・コンドン
出演:イアン・マッケラン/ローラ・リニー/マイロ・パーカー/真田広之
ギャガ
公式サイト 映画批評/デート向き映画判定
イイ男セレクション/イアン・マッケラン
© Agatha A Nitecka / SLIGHT TRICK PRODUCTIONS