吉本浩二による同名実録漫画を原作にしたAmazonオリジナルドラマである本作で、主人公の吉本役を演じた濱田岳さんにインタビュー!旅の醍醐味や、男の成長について、質問をぶつけてみました。
PROFILE
1988年6月28日生まれ、東京都出身。10歳で俳優デビューして以来、ドラマ、映画に多数出演。2007年の『アヒルと鴨のコインロッカー』では、高崎映画祭最優秀主演男優賞を受賞。出演作は、『ゴールデンスランバー』『ポテチ』『みなさん、さようなら』『永遠の0』『世界から猫が消えたなら』『ヒメアノ〜ル』『本能寺ホテル』などの映画や、ドラマは『軍師官兵衛』『HERO』『釣りバカ日誌 〜新入社員 浜崎伝助〜』ほか数え切れないほどある。Amazonオリジナルドラマ『日本をゆっくり走ってみたよ〜あの娘のために日本一周〜』では、この役のためにバイクの免許を取得して挑んだ。
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マイソン:
全国津々浦々の風景がとても綺麗でしたが、現地の人々と触れ合う機会はありましたか?
濱田岳さん:
はい、もちろん。なかなか撮影では行かない場所が多かったので、気になって見学にいらっしゃる方もたくさんいました。一番印象的だったのは、バイカーの聖地と言われている、日本最北端の宗谷岬で、そこをゴールとして到達された方々のなかにいた、20代か30代の若い女性です。僕の記憶が正しければ、愛知県から宗谷岬まで、スーパーカブ(おそば屋さんがよく乗っているタイプの長距離用とは言えないバイク)で辿り着いた日に、僕ら撮影隊とバッティングして。そこで涙を流されていたのがとっても印象的で、僕らはあくまで撮影で旅をしていましたけど、(旅する人の気持ちって)嘘じゃないんだっていうか…。ゴールが嬉しいのか、道中が大変だったのか、なぜ涙を流されていたのかはわからないし、(僕が演じた)吉本みたく一念発起した理由がそこにあったのかはわからないですけど、美しかったですね。
マイソン:
本作は、好きな人のために旅をする男性の物語ですが、宗谷岬で出会った女性のように、逆に好きな男性のために一人旅をする女性がいたらどう思いますか?もしご自身が思いを寄せられている側だとしたら、そういう女性をどう思いますか?
濱田岳さん:
吉本は“強くなりたい”っていう漠然とした理由で旅に出るんですよね。まあ、彼女のために強くなるんですけど、どう強くなるかは設定していなくて、やみくもに旅に出ちゃった。僕からしてみると、バイクって当然ながら危ないし、裸一貫で走っているようなものだし、乗ってみて思ったのは、自然環境にすごく左右されるということです。今回のために免許を取ったので、乗る度に発見ばかりだったんですけど、気持ち良く走っていても、雨が降ると痛いし、気候の良い時期でも風を受け続けるので寒いんですよね。他に何が怖いかって、虫がものすごく痛いんですよ。そういうのも乗ってみてわかりました。吉本の場合は、ほぼ野営で日本一周するので、僕の発想からすると、そうしている時点でだいぶ強い人なんですよ。だから、素直に尊敬しちゃうし、「いいよ、そんなことしなくても。僕はわかっているよ」って言いたくなっちゃう。その行動力というか発想だけで、僕はだいぶその人に惹かれますね。すごいなっていうか、カッコイイなって思っちゃいます。
マイソン:
観ていて私も旅をしている感覚になりました。ロードムービーってすごくおもしろいと思うんですが、濱田さんがお好きなロードムービーはありますか?
濱田岳さん:
一番好きな映画でもあり、厳密に言えばロードムービーとは少しずれるかも知れないけど、『ブルース・ブラザース』が好きです。一回バラバラになったやつらを皆でハチャメチャにしながらまた集めて、最後にもう一回バンドをやるっていう、特にどうということはないですけど、僕にとってはものすごく元気がもらえる作品です。日本においては“裸の大将”シリーズとか、“男はつらいよ”シリーズもその一つだと思いますし、そういう名作がお手本としてあるので、そのグループに僕らも入れるんじゃないかという楽しみもありました。最高の贅沢ですけどね。縁もゆかりもない土地で、吉本らしくそこに居続ける図々しさというか、そういうことができるのはロードムービーでしかないですし。あとやってみて思ったのは、チーム感というかファミリー感が尋常じゃないものになりました。同じ釜の飯じゃないけど、僕が辛かったら皆も辛いし、僕が楽しかったら皆も楽しいっていう状態だったので、「あ、死ぬ」っていうときは、絶対にこの旅の思い出が走馬燈に入ってくると思いますね(笑)。
マイソン:
劇中で、吉本が一見面倒くさそうなおじさんと、眠いのに夜通し話し込んだりするのを観て、そういうところが一人旅の醍醐味にも思えました。演じながら、一人旅の醍醐味みたいなものは感じましたか?
濱田岳さん:
んー、そうですね。こういうことが許される状態、つまり吉本でいえば、連載が終わって旅をするくらいの貯金はあるという状態だったら、ぜひやるべきだなと思います。人生のなかでこれほどゆっくり時間を過ごせることはないし、自分探しの旅でインドに行くとかでも良いですが、そこまで忙しくしなくても出来るというか、日本人なので日本で感じることもたくさんあると思います。これ(今回の撮影)が本当の旅だったら、最高に贅沢な旅ですよね。あと、コツというか…、基本的に人って優しいなと思うんですよ。苦しめてやろうと思って吉本に近づいてくる人って全然いないんですよね。だから人の優しさに触れるっていうのは、(旅のなかで)一番体験できることかなと思いますね。バイクの旅って見た目が壮絶なので、話しかけたくなっちゃう人も多いと思うんですよ。確実にそこまで来るのに苦労しているから。そういう意味では贅沢だし、やっていて、良いなと思いましたね。
マイソン:
好きな人のために旅をしている吉本が、旅を通して男として成長した部分を“女子にこう観てほしい”というのがありましたら教えてください。
濱田岳さん:
吉本の旅は寄り道だらけなんですけど、「何で?」って思うと、そこには必ず彼女が好きっていう理由がある。彼は決して「僕は女心がわかる」みたいな人ではないけど、そのピュアさは人として惹かれる要素の一つじゃないかな。(片想いの相手である)恵理さんにもどっか伝わっちゃってるんですよね。皆で旅をしながら、「吉本、ここで押せば、恵理さんいけたよね」とか、「絶対にいけたよ、このタイミングで」って言いつつ、旅の先々でステキな女性キャストも増えてきて会うと、「この子か恵理さんかどっち選ぶ?」みたいな会話になり、「俺は目先のこの子かな〜」って(笑)。そうやって吉本なりに迷い、誘惑にも負け、だけどやっぱり恵理さんのところに向かうっていう、その気持ちはステキだなと思っていました。
マイソン:
ある意味、吉本の野性的な部分も楽しめるっていうことですか(笑)?
濱田岳さん:
うーん、野性的っていうほどイイ男じゃないんですよね(笑)。原作を読んでいても、旅で心も体も疲弊しきって、寂しくなって風俗に行くっていう描写もあって、「しょうがねぇなぁ。貧乏旅行じゃねえのかよ!」って思いつつ、ビジネスホテルに泊まっちゃったら、「でもまぁ、戦士に休息も必要だよな」って思ったり…。
マイソン:
ちょっと優しい目線で観てあげたいところですね(笑)。
濱田岳さん:
そうですね(笑)。ちょっとお母さん気分で観てあげてください。
※写真のバイク:YAMAHA SEROW 250cc
2017年10月13日取材&TEXT by Myson
Amazonプライム・ビデオにて見放題独占配信中
出演:濱田岳/本仮屋ユイカ/山崎紘菜
職業はマンガ家、32歳の吉本浩二は、思いを寄せる恵理のために、強い男になろうとバイクで日本一周の旅に出る。雨に打たれ、バイクも故障し、怪我にも見舞われ、苦難も多く押し寄せるが、友人を訪ねたり、見知らぬ人に助けられたり、吉本はさまざまな経験をしながら、道を進んでいく。
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