スタジオジブリ『借りぐらしのアリエッティ』『コクリコ坂から』『風立ちぬ』などにアニメーターとして参加した経歴を持つ荒井陽次郎の監督デビュー作『台風のノルダ』。今回はその主人公、東(あずま)役の声を担当した野村周平さんにインタビュー。本作が声優初挑戦だった野村さんに、声優の難しさやアニメーションの良さについてお話し頂きました!
PROFILE
1993年11月14日、兵庫県神戸市生まれ。芸能界デビュー前はスノーボード選手として活動し、数多くの大会で受賞。また中国語も堪能。 2009年に、アミューズ全国オーディション2009「THE PUSH!マン〜あなたの周りのイケてる子募集〜」で、応募者31514名の中からグランプリを受賞。2010年にドラマ『新撰組PEACE MAKER』で俳優デビュー。映画は2011年『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』でスクリーンデビューし、その後『江ノ島プリズム』『男子高校生の日常』『パズル』『日々ロック』『愛を積むひと』など、多数の映画に出演。ほかにもテレビドラマやCMなど幅広く活躍。『台風のノルダ』では、主人公の吹き替え担当として声優に初挑戦。
シャミ:
本作が声優初挑戦でしたが、このお仕事のお話を頂いたときの感想を聞かせてください。
野村周平さん:
初めてだったのですごく嬉しかったです。でも実際にやってみると声優ってものすごく難しいなと感じました。声だけで芝居をして、気持ちを乗せることは想像以上に大変でした。走ったりする場面も結構多く、本当だったら体を動かしてやりたいくらいでしたが、それができないのでその場でちょっとマイムをしながら声を入れました。
シャミ:
走ったり、ケンカをしたり、アクションのあるシーンが確かに多かったですよね。でも本当に走って息切れした声に聞こえました。では、今回の声優経験を通して勉強になった点はありますか?
野村周平さん:
勉強というか、こういうところまで録るんだっていう発見はたくさんありました。例えば振り向いたときの「ん?」っていう声とか、普段は気にしていないような声まで録るんですよ。監督から「○○を見つけたときの声ください」って要望があったときは、「見つけたときの声ってどんなだろう?」って思いました(笑)。いろいろな声を試して出していたのですが、たぶんあれをやっていたときの僕の顔はすごくマヌケだったと思います(笑)。
シャミ:
なるほど〜!確かに普段意識していないような声だから難しそうですね。今回野村さんが声を担当した東はすごく繊細なキャラクターだったのですが、ご自身と似ている点はありますか?
野村周平さん:
全部似ていないですね(笑)。演じる上で自分と同じ人って絶対にいないじゃないですか。例えば僕が僕自身を演じたとしても別人になってしまうと思うし、役はみんな違う人だと思って演じています。
シャミ:
では、東が友達や野球と向き合いたいけど向き合えない気持ちについてはどう捉えましたか?
野村周平さん:
東たちくらいの年頃ってやっぱり言いたいことが言えないときがあるし、変に萎縮してさらに自分が小さく感じることもありますよね。そういう気持ちを上手く表現したのがこの映画だと思います。僕としては、東が繊細なキャラクターだと感じたので、なるべく声を弱めに出そうと思いました。
シャミ:
野村さんご自身は以前から声優に興味があったのでしょうか?
野村周平さん:
ありました。いろいろな作品を観てきたし、『時をかける少女』とか観ているとすごくキュンキュンしちゃうんですよ(笑)。今回の作品もそうですが、こういう青春ものって、アニメの世界に入って戻って来れないような感覚になってしまいます。
シャミ:
ちなみに今まで観たことがあるアニメで、好きな声のキャラクターや好きな声優さんはいますか?
野村周平さん:
こないだ『寄生獣』のアニメを観ていたんですけど、平野綾さんがやっているミギーの声はイメージと合っていてすごく良かったです。あとはリリー・フランキーさんも最近、声優をやっていますが、ああいうほんのりした声も好きですね。あとは『もののけ姫』のアシタカ役をやっている松田洋治さんとか、『サマー・ウォーズ』の神木隆之介さんの声も好きです。
シャミ:
なるほど〜。では、野村さんが思うアニメーションの良さってどんなところだと思いますか?
野村周平さん:
絶対にあり得ないことが起きるところです。例えば今回の作品だと急に女の子が空から降ってくるとか、かなり衝撃的ですよね。実写だったらあり得ないって思ってしまいますが、アニメだと気にせず普通に観られるんですよね。そこがアニメの良さだし、おもしろいなって感じます。
シャミ:
では本作の好きなシーンや注目して欲しいところはありますか?
野村周平さん:
台風で看板が飛んできて学校の窓ガラスが割れるシーンはかなり好きです。ガラスの飛び方のリアルさとか「これはすごい!」って思います。そういう技術面のすごさがすぐ気になってしまうんですよね(笑)。自分が声を入れているところだと、やっぱり走っているシーンは注目して欲しいです。あとは少女や友達との掛け合いのシーンも聞いて欲しいところです。
シャミ:
最後に本作のオススメコメントをお願いします。
野村周平さん:
この映画は、少年の葛藤や友達とのぶつかり合いをリアルに描いている作品で、台風である少女がやって来るという実写のドラマでは表現できないようなことがギュッと詰まっています。ぜひ彼らの気持ちのぶつかり合いとか、変化の様子を観て頂けたらなと思います。
インタビュー中の野村さんは、テキパキと回答する様子が印象的で、声を録っていたときのお話をしていたときは、実際にいろいろな声を出しながら話してくれました。今後の目標については「オールマイティーにいろいろなことがやってみたい」と話し、声優についても「また青春ものがやってみたいです」と語っていました。今後の活躍がますます楽しみですね!まずは、今回野村さんが声優初挑戦した本作をぜひご覧ください。
2015年5月2日取材&TEXT by Shamy
2015年6月5日より 全国にて3週間限定公開
監督:荒井陽次郎
声の出演:野村周平/金子大地/清原果耶 アニメーション
制作:スタジオコロリド
配給:東宝映像事業部
舞台はとある離島にある、文化祭前日の中学校。東は、幼い頃からずっと続けていた野球を辞めたことをきっかけに親友の西条とケンカしてしまう。そんななか、東は赤い目をした不思議な少女ノルダと出会う。その頃、観測史上最大級の台風が学校を襲おうとしていて…。
公式サイト イイ男セレクション/野村周平
©2015 映画「台風のノルダ」製作委員会