大人気ホラーゲーム「青鬼」の実写映画化2作目『青鬼 ver.2.0』は、前作とは異なる“新章”として、新たなキャスト&キャラの登場でバージョンアップ。そんな本作の主演に抜擢され、テレビドラマ『家政婦のミタ』の出演でも有名な中川大志さんにインタビューしました。実はホラー嫌いだと言う中川さんだからこそわかる本作の観やすさや、今回の役づくりについて伺いました!
PROFILE
1998年6月14日、東京都生まれ。2009年にNHK BS-hiで放送された『わたしが子どもだったころ』の再現VTRで俳優デビュー。その後2010年に映画『半次郎』で映画デビューを果たし、テレビドラマ『家政婦のミタ』の出演で一躍注目を浴びる。その後も『GTO』『夜行観覧車』『水球ヤンキース』『地獄先生ぬ〜べ〜』など、数々の人気ドラマやCMなどに出演。そして、2015年の映画『青鬼 ver.2.0』で映画初主演を飾る。
シャミ:
今回が映画の初主演ということでしたが、プレッシャーはありましたか?
中川大志さん:
プレッシャーがなかったわけではありませんが、主演だからと意識して演じてはいません。この映画のお話を頂いたときも、現場でも普段通りのスタンスで臨みました。でも、公開を迎えてお客さんの反応が見えてきたときに、プレッシャーとかいろいろなことを感じるような気がします。
シャミ:
では、ひろしを演じる上で心がけた点はありますか?
中川大志さん:
ひろしは感情が表情として表に出ず、人とのコミュニケーションの取り方がわからない、常に自分の世界にいるあまり人間らしさのないキャラクターでした。なので、とにかく観て頂くお客さんから「この人、何考えているんだろう?」って思ってもらえるように、動き方一つにしても、なるべくまばたきをしないようにしたり、誰かと話しているシーンであれば、宙を見て会話するようにしていました。普段だったら相手の芝居を受けて、それでテンポ良くセリフを返すキャッチボールをしますが、今回はそれを全くせずに相手の芝居を敢えて上の空状態にして、とにかくひろしの世界観のなかで、ひろしのペースで話したり動いたりするように心掛けました。
シャミ:
なるほど〜。この映画ではひろし自身の成長も見られたのですが、その辺りも意識的に演じ分けていたのでしょうか?
中川大志さん:
そうですね。後半に進むに連れてひろしは、人間らしい感情を理解し始めますが、そうやってだんだんと成長していく様子はきちんと見せられたら良いなって思いました。だからこそ最初の方はインパクトのあるちょっと不思議な子として演じました。
シャミ:
中川さんとひろしとで似ているところはありますか?
中川大志さん:
ひろしが唯一心が燃え上がるのが蝶とか自然のもので、ひろしは蝶に目を奪われると周りの音が聴こえなくなって、自分の世界に入っちゃうんですよね。僕も結構凝り性で、やり出したら周りのことを気にせず、ずっとやり続けちゃうので、そういうところは似ています。それ以外の部分は、本当に自分との共通点を探すのが難しいくらい、ひろしは自分にないものをたくさん持っているキャラクターだと思いました。普段芝居をするときは自分の経験から感情を思い出して役づくりをするんですけど、今回演じたひろしは本当に今まで経験した感情では表現できないようなキャラクターで、それが新鮮で楽しかったです。
シャミ:
資料にホラーは苦手だとあったのですが、実際にご自身がホラー映画に出演してみていかがでしたか?
中川大志さん:
楽しかったです。確かにホラー映画は苦手で観てこなかったんですけど、こうやって出演することで発見もありました。どの役者もスタッフも、常にお客さんからの見え方を気にしていて、どうやってお客さんの心理的恐怖を煽るのか考えていたんです。どんなカメラワークで動くのか、青鬼がどう出てくるのか、照明一つにしても電球が切れかけている方が怖いし、すごくこだわっていました。とにかくお客さん目線を意識しながら作っていく作業で、どうしたら怖がってもらえるのか考えながら作っていくのはすごくおもしろかったです。僕も台本を読んだときは怖かったのですが(笑)、それ以上の恐怖を観る方に感じてもらえたら良いなって思います。
シャミ:
青鬼にはたくさんビックリさせられましたが、ひろしも“ジェイルハウス”にどんどん進んで行くのでハラハラしました。
中川大志さん:
そうですよね。普通なら卓郎たちみたいに怖いから奥に進みたくないじゃないですか。でもひろしの場合は、どんどん進んで行くので、お客さんも「待って待って」って思いますよね(笑)。もしひろしがすごくビビって恐る恐る“ジェイルハウス”に入っていたら、お客さんと同じ感覚になってしまうんですよね。でもひろしは、本当に何も考えずに進んで行くので、そこもお客さんにとってはハラハラドキドキできるところだと思います。
シャミ:
そういう意味では先ほどおっしゃっていた、ひろしの人間味があまりない部分がすごく活かされていたのかなって思います。では、本作の一番印象に残っているシーンや好きなシーンはどこですか?
中川大志さん:
好きなシーンは、幻の4階への階段を上っていくところですね。ケガをして動けなくなったひろしに卓郎が肩を貸すのですが、あのシーンは本当に友情が熱いなって思います。ひろし自身の人間味も感じるシーンで、それまで気を張っていた卓郎も「大丈夫か?」と言って肩を貸すのが良いんですよ。僕は、ひろしと卓郎って真逆なキャラクターだと思っていて、卓郎は感情をストレートに爆発させることができるけど、ひろしはできない、でも卓郎のそういう素直な人柄に触れて、ひろしも徐々に心が動いていったんだと思います。
シャミ:
今回は、ひろしというちょっと不思議な男の子を演じましたが、今後はどんな役をやってみたいですか?
中川大志さん:
僕自身が今高校生なので、やっぱり等身大のリアルな高校生役はやりたいですね。今だからできる高校生の芝居みたいなものがきっとあると思います。でも今回のひろしみたいにちょっとぶっ飛んでいるような役は、やりがいがあって楽しいので、自分とかけ離れているような役にもどんどんチャレンジして、役者としての幅が広がるように頑張りたいと思います。
シャミ:
最後にこれから本作をご覧になる方に向けて、一言オススメコメントをお願いします。
中川大志さん:
この作品は、確かにホラー映画なのですが、単なるホラー映画では終わりません。登場人物の内面も描かれていて、それぞれが成長し変化していく様子も楽しんで観てもらえると思います。あとは、僕たち4人と一緒に“ジェイルハウス”に閉じ込められて、青鬼から逃げているようなアトラクション感覚でも観られると思います。もちろんビックリするところもたくさんありますが、ホラーが苦手な方でも観やすいと思います。
シャミ:
青鬼は急に出て来て、結構ビックリしたシーンもありましたが、今回は可愛いキャラも登場していますよね。
中川大志さん:
そうなんですよ!今回は、フワッティーが、キモカワキャラとして登場していて、それが『青鬼 ver.2.0』の見どころなんです。青鬼だけじゃなくて、フワッティーとの戦いも注目して欲しいですね。だから怖いのが苦手な方でも、とりあえず「フワッティーってどんな生物?」っていう感覚で、気軽に観に来てもらえたらきっと楽しんでもらえると思います。
中川大志さんは、劇中のひろしの不思議な雰囲気とは一転して、すごく素直な高校生らしい方で、友達には「仲が良いほどツッコミが激しくなります(笑)」というお話も聞かせて頂きました!また将来の目標は「唯一無二の役者になること」と語っており、今後の活躍がますます楽しみになりました。そんな中川さんの初主演の本作、ぜひご覧ください。
2015年3月30日取材&TEXT by Shamy
2015年7月4日より全国公開
監督・VFX:前川英章
出演:中川大志 平祐奈 松島庄汰 久松郁実 勧修寺玲旺 タモト清嵐
企画・配給:AMGエンタテイメント
ひろしと杏奈は不登校となっているクラスメイトのシュンを気にかけ、シュンの家へ向かった。その道中で、ひろしは珍しい蝶を見かけ追いかけていき、化け物が現われると噂される“ジェイルハウス”へと誘い込まれる。一方、クラスメイトの卓郎、美香、たけしの3人は、試しに動画実況をするため、時を同じくして屋敷に入っていた。無人であるはずの屋敷内に響き渡る怪しげな物音、その正体とは…?
公式サイト イイ男セレクション/中川大志
©2015 noprops・黒田研二/『青鬼 ver.2.0』製作委員会