マンネリカップルの妊娠発覚から結婚までを描いたラブストーリー『グッド・ストライプス』で、主人公真生役を演じた中島歩さんと西ヶ谷寿一プロデューサーにインタビューさせて頂きました。本作は、妊娠、結婚などをテーマに岨手由貴子監督が女性目線で描いた作品ですが、今回は男性目線で物語やキャラクターについてお話し頂きました。ご自身のタイプなども含め貴重なコメント満載です(笑)!
PROFILE
中島歩
1988年生まれ、宮城県出身。美輪明宏主演の舞台“黒蜥蜴”のオーディションで200名の中から雨宮潤一役に選ばれ、2013年4月に俳優デビュー。NHK連続テレビ小説『花子とアン』で、仲間由紀恵が演じた蓮子の駆け落ち相手、宮本龍一役に抜擢され、人気を集める。2014年には舞台『いきてるものはいないのか』に出演。2015年には『黒蜥蜴』で同役を再演し、TAMA映画祭最優秀新進男優賞受賞。そのほかに『フェードル』、2016年には『ETERNAL CHIKAMATSU』に出演する。
西ヶ谷寿一プロデューサー
1970年生まれ、静岡県出身。映画プロデューサー。『人のセックスを笑うな』、『南極料理人』『パンドラの匣』『横道世之介』『私の男』などを手掛ける。
シャミ:
先ほどDVDに収録されるオーディーコメンタリーを録ったばかりということですが、まずはその感想を聞かせてください。
中島歩さん:
今日は西ヶ谷プロデューサーと岨手監督と3人だったのですが、“男性2人:女性1人”でも女性が優勢でした(笑)。
西ヶ谷プロデューサー:
現場も同じで、中島くんが「僕はこう思うんですけど」って言うと大体、玉砕してたので、コメンタリーの収録でも同じことがまた繰り返されていました(笑)。
シャミ:
女性意見の方が優勢なんですね(笑)!例えばどんなシーンのお話で玉砕したんですか?
中島歩さん:
真生が浮気して帰ってきて、その後に緑が帰ってきて真生に抱きつくシーンがありますが、僕が「真生は緑の手を握らないんですか?」って言ったら、監督と緑役の菊池亜希子さんから「はあ?」っていう反応をされました(笑)。
西ヶ谷プロデューサー:
男性と女性の感覚の違いなんでしょうね(笑)。同じ作品でももし男性の監督だったら、違う反応が帰ってきたと思います。今回は「これぞ、まさに女性映画の現場!」という感じでした。
中島歩さん:
本当にそうですよね。女性監督が描く男性像がすごく新鮮で、男としては恥部をあぶり出されたような気持ちでした(笑)。
西ヶ谷プロデューサー:
良いか悪いかじゃなくて、「男の人ってこうだよね」っていう部分はかなり出ています。でもそういう部分まで見えるのが、この作品の肝なんです。
シャミ:
逆に緑を通して、女性について発見したことはありましたか?
中島歩さん:
夢を実現することに漠然と憧れている緑と、それを実現している友達との対比は、切ないものがありましたね。もちろん、それは男性でも起こり得ることですが、そこをこだわって描いている監督のアイデアはすごく秀逸だと感じました。
西ヶ谷プロデューサー:
今回のような女性目線の作品は新鮮でした。実際に現場でも監督と菊池さんが「こういうこと、あるよね!」っていうやり取りをしているのを見ていて、「女性ってそうなんだ」と思うところもたくさんありました。監督は「そんなに人って単純じゃないよね」というところを上手く描いています。この作品は結婚っていう幸せなテーマがあって、本当なら楽しい部分だけを描くことも可能だったと思いますが、「結婚するのって寂しかったり、難しいところもある。でもちょっと嬉しい」みたいな感覚を絶妙なバランスで維持していると思います。
シャミ:
では、中島さんにお伺いします。真生は、マイペースで優柔不断なキャラクターでしたが、演じてみて難しかったところはどんなところですか?
中島歩さん:
真生は、成り行きに流されていて、勝手に窮屈になっているところがあるんです。最初は「どうして自分の意志がないんだろう?」と思いましたが、真生は本当にただ流されているだけなんですよね。でも芝居をするにあたっては、疑問の理由がどうしても欲しいので、ただ流されている状態を表現するのが大変でした。あと、真生は父親との関係も複雑でしたが、僕自身は普通に父親と暮らしてきたので、その感覚がなかなかわからなくて、「もし僕がそういう状況だったら?」と想像しながら演じました。
シャミ:
父親の家に遊びに行くシーンはかなり衝撃的でした。あのときの真生の気持ちを考えるとこちらまで複雑な気持ちになりました。
中島歩さん:
すごくショッキングなシーンですよね。あのシーンの撮影のときは、真生としても感情がすごく素直に湧き出てきました。その後に両親が一緒に話しているシーンがありますが、「結婚して家族を持っている大人は、すごくちゃんとしているイメージがあるけれど、こんなもんかよ」というちょっとイラつくシーンも印象的です。
シャミ:
ありがとうございます。では、そんな真生役を中島さんに決めた理由を西ヶ谷さんにお伺いしたいと思います。
西ヶ谷プロデューサー:
中島くんは以前にも映画の現場で見たことがあったのですが、舞台を観に行ったときに全然違う側面が見えたのがおもしろいなって思ったんです。それから、中島くんとたまたま映画館で会ったときにも「これは真生だ!」って思った瞬間があって、監督と話し合った結果、中島くんに決まりました。結婚をテーマにした作品はどの時代にもありますが、今回の場合は「今の若い人達は、こうなんです」という、監督の意識がすごく強かったので、真生役も手垢のついた芝居をされるのは嫌だと考えていました。でも中島くんなら僕らが思う現代の若い人の感覚や感受性を、全部背負えるんじゃないかと思いました。
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シャミ:
ではお二人にお伺いしたいのですが、緑のような自由奔放な女子をどう思いますか?
中島歩さん:
たぶん僕自身はあんまりタイプじゃないですね(苦笑)。緑は結構強気ですから、ぶつかりそうな気がします。
西ヶ谷プロデューサー:
中島くんはどういう女性がタイプなの?わりと従順な感じの子の方が好き?
中島歩さん:
以前は、従順で面倒をみてくれるような女性が良いなと思っていました。でもそれはちゃんと安定した仕事をしている人ができることであって、僕は俳優という職業で、まだ不安定だから、それは叶わないのかなと。しかも、現実的に従順な人がそんなにいないというのもわかってきました(笑)。
西ヶ谷プロデューサー:
わかってきちゃったんだ(笑)。僕らの周りは、緑のようなタイプの女性が多いんですよね。今回の緑もそうですが、地方から東京に出てきた女性のなかで、一定の年齢を越えてからも地元に帰らずに、東京に残る人は最近すごく多いですよね。でもそうやってずっと頑張り続ける女性が、僕は結構好きですね。なので緑は好きなタイプということにしておきましょう(笑)。
中島歩さん:
でも、僕は緑に結構ムカつきましたよ。真生とケンカをする場面もありましたが、僕だったら緑とどうやったら仲良くできるんだろうと思います。
西ヶ谷プロデューサー:
緑が自分の夢を実現しきれていないっていうところにも、僕はすごく共感しています。だからキャラクターとしての親しみもあるし、特に後半になると真生に「大丈夫だよ!」と言ってあげる場面もありますし、僕はすごく良い子だなって思います。
シャミ:
お二人で意見が違うんですね(笑)!中島さんは、今回の役を通して「自分が結婚するときは、こういう要素を相手に求めたい」と思った部分はありますか?
中島歩さん:
今はちょっと迷宮入りしています(笑)。まずは、どういう人を選べば良いのかというところからですね。やっぱり従順なタイプは、ちゃんと諦めないといけないなと思います。
西ヶ谷プロデューサー:
将来どんな相手と結婚するのかが楽しみだね!
シャミ:
では最後にトーキョー女子映画部のユーザーに向けて、本作の一番注目して欲しいポイントと、オススメコメントをお願いします。
西ヶ谷プロデューサー:
岨手監督は、自主映画を観たときから、ちゃんと自分の表現したいことを掴んでいて、それが台詞、衣裳や小道具、そして配役にあるなと感じていました。今回は、“結婚”という一大事を前に起こるささやかな不安や喜びを、この世代に非常にリアリティのある感覚で描いた作品になっているので、女性の皆さんが観たら共感できるところがたくさんあると思います。
中島歩さん:
緑が自己実現できずに、なんとか折り合いを付けているところは、女性ならすごく共感できる部分だと思います。でも自己実現できなかったことが、決して悲観的な方向に転ぶわけでもなく、真生という男性と生活していくことも彼女にとっての幸せだと感じさせてくれる作品です。緑も真生も普通の映画だと切り取られないような二人なので、すごく親近感が湧くと思いますし、この作品を観る皆さんの今の状況や気持ちを肯定してくれる作品だと思います。ぜひご覧ください。
2015年9月24日取材&TEXT by Shamy
『グッド・ストライプス』
2015年12月24日DVDリリース(レンタル同時)
※右記のジャケットはセル用です
監督・脚本:岨手由貴子
出演:菊池亜希子/中島歩/臼田あさ美/井端珠里/相楽樹/山本裕子/中村優子/杏子/うじきつよし
バンダイビジュアル
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
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自由奔放でマイペースな緑と、優柔不断なおぼっちゃまの真生は、交際4年目のマンネリカップル。そんな2人がお互いに別れようかと考えていた矢先に、緑の妊娠が発覚し、結婚することに。一緒に住み始めればケンカし、お互いの家族や友人達との対面も渋々の2人。しかし、それまで知ることがなかったお互いのルーツや一面を知ることで、お互いに対する考えも変わり始め…。
©2015「グッド・ストライプス」製作委員会