自分とは真逆の存在って、理解できなくて反発心を抱く半面、自分にはない面に憧れを抱いたり、生きていく上で無視できない存在ですよね。今回は、そんな真逆な立場のキャラクター達の物語を題材に、反対側からみた“景色”について考えてみたいと思います。
ツイートズートピア
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<草食動物と肉食動物> |
草食動物と肉食動物が共存するズートピアは平和でしたが、肉食動物が野生化して凶暴になる原因不明の事件が多発し、大騒ぎになります。この世界では動物たちが人間のように暮らしていますが、野生化した動物は自分の家族もわからないし、家にも戻らず、失踪が続きます。そんななか、ジュディは手がかりを見つけていきますが、この事件によって肉食動物は危険だというレッテルが貼られ、ズートピアの均衡が崩れていきます。人間のように暮らしていた元の社会では多少肉食動物が優位な社会。うさぎのジュディが警察官になっても、待遇が良いとは言えませんでした。でも、数の上で圧倒的に多い草食動物が、あることがきっかけで優位に立つと、世の中がガラッと変わってしまいます。本作では、草食動物のジュディと、肉食動物のニックがタッグを組んでいる点で、お互いの先入観が見えると同時に、知られざる視点も明かされます。立場が全く逆だからと言って理解できないのではなく、理解しようとしていないことが、問題を引き起こす要因なのかも知れませんね。 |
太陽
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<広くて危険な世界、狭くて安全な世界> |
ノクスは太陽にさらされると焼け死んでしまうため、夜しか外を出歩けない代わりに、寿命が長く、老化もありません。一方、キュリオはいつでも自由に行動できますが、貧しくて、ノクスの管理下で生活しています。そんななか、キュリオの奥寺鉄彦は、ノクスになりたいと願い、ノクスに変換できる手術を受けるチャンスを狙っています。鉄彦はノクスのことを事前によく知っておこうと、彼らの居住区の境界にいる門番の青年、森繁富士太と徐々に友達になっていきますが、このときお互いに無いものを実感することになります。太陽のもとでは出歩けず、統制された社会で自分が望むかどうかを問わず職業さえも決められてしまうノクスの富士太と、裕福な生活に憧れるキュリオの鉄彦。物語の冒頭では一見ノクスのほうが勝ち組に見えますが、それぞれの立場に起こる問題を目にしていくと、自ずと自分の価値観がどちらの生き方を望むかが見えてくると思います。 |
自分とは違う存在を受け入れたり理解することは難しい場合もありますが、まずはフラットな状態で接してみることが大事なのかなと思います。自分では差別視していなくても、無意識のどこかに先入観があることも。もしかしたらその先入観が、いろいろな人との素敵な出会いを邪魔しているかも知れませんね。
2016.4.11 TEXT by Myson