2016年4月23日より全国公開/PG-12
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冒頭からただならぬ重い空気を発していてすぐにこの世界観に引き込まれました。太陽にさらされると死んでしまうけれど超ハイテクな環境で裕福に暮らす新人類のノクスと、太陽の下で暮らせるけれど貧しい生活をしているキュリオという2種の人類がいるという不気味な設定もすごく興味が湧きました。正直どっちにもなりたくない人種なので、観ている方も究極の選択をさせられる気分で観ることになりますが、神木隆之介が演じるキュリオの鉄彦と、古川雄輝が演じるノクスの関係、門脇麦が演じるキュリオの結と、ノクスになった母の関係と、異種の交流のパターンにも対比が見えて、いろいろな価値観で感情移入できるポイントがちゃんと描かれています。ノクスの“不老不死で夜しか外を出歩けない”という設定はヴァンパイア的だなと思っていましたが、資料によると、原作者の前川知大は「日本を舞台にしたヴァンパイアもので人間の葛藤を描いてみたかった」と語っていて、この物語の創作のベースにはリチャード・マシスン著「アイ・アム・レジェンド」(ウィル・スミス主演で映画化)があるとのこと。でも単純にヴァンパイア・ストーリーを日本風にアレンジしているというのではなく、期限内に究極の選択をさせられる状況ではありつつ“選択するのは自分”という部分で、人間ドラマとしてより深い内容なっていると思いました。一見SFらしくないのが逆に新鮮で魅力的な邦画。幅広いジャンルに興味のある映画好き女子にオススメです。 |
むごいシーンが出てくるので、デート映画としては敢えてオススメしませんが、テーマは人の価値観を象徴するものなので、一緒に観て感想を語り合うとお互いの価値観がどれくらい近いのかを知るきっかけにできそうです。初デートではやめておいたほうが良いですが、これまでいろいろな映画を一緒に観ているようなカップルなら、たまにこういう作品を観るのも良いでしょう。 |
PG-12なのでどうしても観たいキッズは大人と一緒に観てもらえればと思いますが、子どもにはいろんな意味で怖い内容なので、中学生以上になってから観ることをオススメします。20歳になるまでに究極の選択をしなければならない、自分が望んだとしても今度は抽選に当たらないといけないという設定は、ティーンの皆さんにとってはよりリアルに感情移入できると思います。自分はどんな生き方を望んでいるのかを知るきっかけに、ぜひ友達や家族で観て、自分ならどうするか語り合って欲しいと思います。 |
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2016.4.12 TEXT by Myson