お金があれば、世の中のほとんどの問題は解決するという意見もありますが、本当にそうでしょうか?今回は、財力によるパワーバランスやヒエラルキーが崩壊していくストーリーをテーマに考えてみました。
ツイートハイ・ライズ
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<階級のパワーバランスは容易に変動する> |
上層階に行くほど、富裕層が住んでいる40階建てのこのマンションでは、たとえ職場で上司と部下の関係でも、マンションに帰れば、上層に住んでいる者の階級が上という価値観が成り立っています。最上階に住む人物が支配者的な立場にあり、上層階の住民はいつもパーティ三昧で優雅な生活を送っていますが、低層階は停電続きで、同じマンションに住んでいるとは思えない暮らしぶりです。より良い生活を送りたいならもっとお金を出せと言わんばかりのマンションですが、低層階の住民のガマンが限界にきたとき、その秩序は崩壊します。秩序が崩壊した途端、もう財力による支配は無意味。うまく立ち回れる人物が支配権を握るようになります。やはり財力だけでは、人を治めることはできませんね。 |
セルフレス/覚醒した記憶
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<本当に得たいものは、お金で買えない> |
財力のある人間だけに秘密裏に提案される延命措置を受けたダミアンは、新しい肉体を得て、新しい人生をやり直すことになりましたが、楽しめたのは最初だけ。ある薬を常用しないと副作用もあるということで、不自由さを感じながら生活することになります。そして、ある時から、自分のものではない記憶を見るようになったダミアンは、新しく手に入れた肉体の真相を突き止めようと動き出しますが、その真相を知った段階で、このまま生きるか、肉体の主導権を譲るべきか、悩むことになります。娘との絆を取り戻したかったダミアンだからこそ、ある意味、予想とは違った形で人生を本当にやり直すきっかけを得ることになりますが、本当に欲しかったものは、財力ではなく彼の良心により得られたとも解釈できる物語です。 |
お金のパワーについて描かれる映画はたくさんありますが、どんなに多くの財産があっても、絶対的なパワーにはなり得ないのだと実感します。お金は手段の1つとしてはパワフルですが、逆にそれを持つがゆえに振り回されているという自覚がなくなると、自分の身を滅ぼすことにもなり得ますね。
2016.8.8 TEXT by Myson