誰も罪を犯したいなんて思いませんが、知らず知らずのうちに罪を犯しているかも知れないとしたら、どうでしょう?今回はそんな視点を描いた作品をご紹介します。
ツイート三度目の殺人
|
<誰が“三度目の殺人”を犯すのか> |
ネタバレするので詳細は言えませんが、本作のタイトルにある“三度目の殺人”という言葉のなかに、いろいろな意味が込められています。供述内容をコロコロ変える三隅という男に、周囲は振り回されていき、皮肉にも観る側も観れば観るほど、真相がわからなくなっていきます。誰の罪なのか、はっきりわからない状態のまま、どんどん進んでいく、1人の男への裁き。そして、何が一番怖いことなのかが、逆にどんどんはっきりと見えてきます。それこそが、誰も罪だと自覚していない、もしくは、誰もが目を背けようとしない罪なのです。 |
ザ・ウォール
|
<敵視される理由> |
映画そのものは、見えない敵と戦う米兵の恐怖を描いているようにも思えて、一見相手が悪役のように感じるのですが、イラクの人にしてみれば、アメリカ兵が自国にいる事は、違った意味を持つのかも知れません。『グリーン・ゾーン』を観た時にも同じ事を感じましたが、一方は助けているつもりでいても、片方は国政に介入されているとしか思えない場合もあります。本作はそこまで露骨にそういったメッセージを発していませんが、徹底的にアメリカ軍を排除しようとする、見えざる敵の執念にそういった意図があるようにも思えます。 |
自覚のない罪ほど恐ろしいものはありません。でも、気付いているのに見ぬふりをする罪ほど自分を苦しめるものもありません。そんな罪に加担しないようにするには、まず現実から目を背けない事なのかも知れないですね。
2017.8.7 TEXT by Myson