前作で一件落着したのに、またマレフィセントを倒そうとする人がいるなんて誰なんだろうと、まず気になるところですが、そもそもマレフィセントはヴィランであると考えると、これが元の設定なら全く逆の感覚で観るんだろうなと、これだけ視点を変えてしまうこのシリーズのユニークさを改めて感じます。人間が持つ愚かさ、先入観からくる不要な恐怖がもたらすものをわかりやすく表現していて、ずっと争いの絶えない人間社会へのメッセージが伝わってきます。一度愛を信じて幸せになったマレフィセントだからこそ、オーロラ姫との関係の変化に胸が痛むシーンもありますが、2人の絆が最終的にどうなるのかが今回のストーリーの鍵となっています。善と悪は、見た目やルーツで決まるわけではなく、憎しみに負けてしまった心が生み出すもの。その時、自分はどちら側になるのかを問うストーリーで、ラストはウルウルが止まりません。マレフィセントのカッコ良さがグレードアップし、オーロラ姫を含めファッションも凝っていて、女子目線でワクワクする要素はもちろん満載です。ミシェル・ファイファーの悪役ぶりも見逃せませんよ。
爽やかでイケメンのフィリップ王子と、心は逞しく、見た目はとても可愛らしいオーロラ姫のカップルには、誰もが共感できるはず。でも良い意味でラブストーリー過ぎず、物語の軸は、妖精界の危機をマレフィセントがどう救うのかというところなので、友達以上恋人未満の2人など、どんなカップルでも観やすいと思います。妖精達が空を飛び回るシーンや、戦いのシーンは、前作よりもスケールアップしているので、もはやプリセンス・ムービーの域を超えていて、男性でも楽しめます。
人間と妖精という設定になっていますが、この物語は私達の日常でもよく起こっている状況を投影しています。お互いに争って傷つけ合わなくても、自分達次第で世界は変えられると希望を与えてくれるストーリーになっています。相手をわかろうとしないで、勝手にこうだと決めつけて敵意を持ってしまうことの愚かさを、本作で客観視してもらえると嬉しいです。
『マレフィセント2』
2019年10月18日より全国公開
ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト
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TEXT by Myson