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エルネスト

2017年10月6日より全国公開
キノフィルムズ
公式サイト

主人公フレディ前村は、ボリビアの日系二世なのですが、オダギリジョーは語学もしっかり修得し、完璧に演じていました。阪本順治監督もしかりですが、日本人がこういった作品に挑戦することは素晴らしいと思うし、挑戦した時点でまず拍手を贈りたいと思います。キューバと日本の関係など、あまり馴染みのない歴史も丁寧に描かれていて、勉強になる部分がたくさんありました。フレディ前村の半生そのものは後半にフォーカルされていき、正直、あっけないといえばあっけない終わり方でしたが、これこそリアル！微妙な立場に置かれながらも、使命感を持って生きた姿は印象的で、ラストの切ない展開も、社会の辛辣さをそのまま表現していて、平和ボケから目を覚まされるようでした。誰にでもオススメという観やすい作品ではないですが、知っておくべき歴史を知るきっかけに観て欲しいです。

特別デート向きというわけではありませんが、若き日々を恋や私欲に費やさず、母国のために捧げた青年のストーリーは、切なくもあり、美しくもあり、平和な世界で恋愛できる喜びを実感させてくれると思います。ちゃらんぽらん過ぎる彼氏と付き合っている女子は、「こんなに誠実な人って素敵」というスタンスでお手本として見せるのもありでしょう。

歴史的背景を知った上で観たほうが理解が深まり、関心も倍増すると思うので、学校の勉強で習ってから観て欲しいです。また、良かれと思ってした行為でも、相手の立場によっては、歪んで受け取られてしまう悲しい現実も描かれています。それでも自分ならどんな人間でいたいかということも考えながら観ると有意義だと思います。

2017.9.27　TEXT by Myson