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29 9月

オダギリジョーと阪本順治監督の情熱がスクリーンに結実!『エルネスト』

Posted in 未分類 on 29.09.17 by Merlyn

映画『エルネスト』試写イベント舞台挨拶、オダギリジョー、阪本順治監督映画『エルネスト』試写イベント舞台挨拶、オダギリジョー、阪本順治監督

キューバ革命の英雄エルネスト・チェ・ゲバラの意志に共感し、“もう一人のゲバラ”としてボリビアの軍事政権との戦いに命をかけた実在の日系人、フレディ前村ウルタードの知られざる生涯を描く映画『エルネスト』の試写会が2017年9月13日に都内で行われ、主演のオダギリジョーと阪本順治監督が舞台挨拶に登壇しました。ゲバラ没後50年の節目となる今年。会場には“スペシャル・サポーター”として抽選で選ばれた100名がチェ・ゲバラの扮装をして客席に集結。全員が“もう一人のゲバラ”としてイベントを盛り上げました。

映画『エルネスト』試写イベント舞台挨拶、オダギリジョー、阪本順治監督サポーター達の大きな拍手に迎えられ登場したオダギリと阪本監督。監督は客席のゲバラ軍団を見るなり「今日は何の集会でしょうか(笑)?」と顔をほころばせつつも、「 “エルネスト”という言葉には“真剣”という意味がありますが、言語学に詳しい方にお聞きすると、もう一つ“目的を決めた上の真剣”という深い意味があるんです。“目的を決める”という意味を踏まえて、この映画を観ていただきたいと思います」と挨拶をしました。

続いてマイクを渡されたオダギリは、「監督にお話をいただいた時からやりたいという気持ちがマックスで、“やらせてください!”と即答したんですが、一番の理由は、“想像もできないような困難な道だろう”と思ったことですね。20年も芝居をやっていると甘えや慣れがつきまとうけど、それを排除して真剣に取り組まないと乗り越えられないような高いハードルが見えていたので、初心に戻る意味でも必ず乗り越えようと思いました」とフレディ役を引き受けたときの並々ならぬ決意を語りました。

映画『エルネスト』試写イベント舞台挨拶、阪本順治監督「本作製作にあたり、どのような準備をしたのか?」というMCからの質問に阪本監督は、「フレディ前村ウルタードという存在を知り、彼の家族が書いた書籍「革命の侍―チェ・ゲバラの下で戦った日系二世フレディ前村の生涯」(長崎出版刊)を読みました。その後、フレディさんのキューバ国立ハバナ大学時代のご学友に会いに行き、彼の人柄や大学時代のエピソードを取材しました。フレディさんの姉であるマリーさんの取材で印象的だったのが、“フレディは医者になって人を助けるためにキューバに行ったのに、結果的に武器をもって人を殺めるかもしれない。その狭間で弟は苦しんでいたんじゃないか”という言葉です。彼はキューバでは英雄になったけど、ボリビアでは“売国奴”“国に逆らった存在”として家族は弾圧されました。お父様は投獄され、財産も没収されたそうです。お母様のローサさんは、どうにかフレディの遺骨を見つけたいとキューバに働きかけたとき、キューバの人々から“あなたの息子は事故や病気で死んだわけじゃない。戦って死んだんだから悲しむ必要はない”と言われたらしいですが、やはり自分の息子を失った痛恨の思いで泣き崩れたそうです」と取材過程で遭遇したさまざまな事実を述懐しました。さらに、「取材でフレディさんのご家族の思いを知り、名もなき学生としてキューバに渡った彼が、どんな学生生活を送ったのかをメインに描きたいと思いました。ただ医者になりたくて、いつか母国に帰って特権階級しか受けられない医療を開放したいと思っていた人間が、最終的に銃を持つようになった。そのことを描きました。もっと言うと、彼のことを英雄視して描きたくないと思いました」と作品へ込めた思いを語りました。

フレディ役を演じることの難しさについて聞かれたオダギリは、「日系とはいえ、外国人ですからね。そういう方を演じることが人生であるとは思っていなかったので、失敗と思うような結果にしたくなかった。今の日本でこういう映画を作るのは革命だと感じていたので、戦い抜こうという気持ちが強かったです」と回答。全編スペイン語のセリフについては、「ずいぶん時間をかけてやりました」と振り返りました。

そんなオダギリについて阪本監督は「彼が日本にいる時から相当な準備をしていたのを見ていましたし、スペイン語や減量に関しても苦労だと思わないでやってくれる人だと思っていました。ゲリラのシーンからクランクインし、初めてスペイン語のセリフを聞いて“僕らにとってのフレディ”と確信できました。僕もスペイン語を学ぼうとしていたけど、途中で頓挫したのでオダギリくんが何を話しているのか全然わからなかったです(笑)」と全幅の信頼を寄せていた様子を語り、さらに「オダギリジョーのすごいところは?」と質問が投げかけられると「映画を観たら凄いとしか思えないですよ。自分が監督としてどうこうより、オダギリくんがすごいっていうのが一番の感想です。ここでしか言いません。本人には言わない(笑)。日本人の血が流れているとはいえ、日系の方と日本人は全く違いますから。チェ・ゲバラもそうですけど、フレディさんも“私はラテンアメリカ人である”という物言いをします。彼が一介の医学生でありながら、世界的な視野としてはラテンアメリカを見据えていた。その意味をオダギリくんは表現してくれたと思います」と絶賛しました。

映画『エルネスト』試写イベント舞台挨拶、オダギリジョー、阪本順治監督最後にこれから本作を観る人へ阪本監督から、「本作の最後に“マリー前村ウルタードさんに捧げる”という言葉が出てきますが、(前述した通り)フレディさんのお姉さんです。僕らが取材をして、契約を結ばせていただいた直後に亡くなられましたが、本当にこの作品を観ていただきたかった。あとは国際テロリストとかニュースで聞いたときに、キューバの革命軍と一緒にしちゃう日本人がまだいると思うんですけど、全く違うものであって、キューバ革命軍は職業軍人とは戦ったけれども民衆には手をかけていないんです。皆さんわかってらっしゃると思いますけど、そういうこともこの映画を通じて知っていただけたらと思います」と熱く語りかけました。

舞台挨拶の最後は、映画のヒットに願いを込めて、キューバがスペインからの独立戦争に勝利した際に戦勝を祝うカクテルとして広まった“クーバ・リブレ(キューバの自由)”が入った樽の鏡割りも行われ、大盛況のうちに舞台挨拶は終了しました。

2017年10月6日より全国公開となる本作。フレディ前村ウルタードという一人の青年の生き様と、オダギリ−ジョー渾身の演技に、ぜひご注目ください!

試写イベント舞台挨拶:2017年9月13日取材 TEXT by min

 

映画『エルネスト』オダギリジョー『エルネスト』
2017年10月6日より全国公開
公式サイト
配給:キノフィルムズ
© 2017 “ERNESTO” FILM PARTNERS

 

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