2015年6月6日より全国順次公開
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映画界の若き天才として注目されるグザヴィエ・ドランが、本作では俳優に徹していることでも興味深い作品。原作・脚本を手掛けたニコラス・ビヨンの父と友人だったグザヴィエ・ドランが、この戯曲を読んで惚れ込み、「この男は僕なんだ。僕自身だ」と出演を懇願したそうです。シーンのほとんどが病院の一室で展開される心理劇なのですが、グザヴィエ・ドランを含め、ブルース・グリーンウッド、キャサリン・キーナー、キャリー=アン・モスといった演技派俳優達の演技がとてもリアルで、見応えがありました。行方がわからなくなっている1人の医者と、グザヴィエ・ドランが演じるマイケルとの関係が最初は明かされないまま物語が展開し、ブルース・グリーンウッドが演じるトビー・グリーン院長とマイケルのやりとりで徐々に状況が掴めてくるのですが、真相がわかったときにはもう手遅れという絶望感と、やられた感に襲われます。“エレファント・ソング”にまつわる真相も衝撃的で、何から何までうまいな〜という印象です。ただ、切ないストーリーと同時に、前進する人間の心も描かれているので、全部観終わったあとは清々しさもあります。センスの良い映画を観たいという方にオススメの一作です。 |
登場人物の心の動きはとても大きいですが、映像的には派手さがないので、完全な娯楽映画しか観るに耐えないというタイプの人は誘わないほうが良いでしょう。テーマが重いので、ウキウキデートの日には向いていませんが、映画鑑賞がメインという気合いのある日には観てみても良いと思います。精神的に不安定な方を連れて行くのには向かない内容ですが、心身共に健康なカップルは、本作を観てどのあたりで真相に気付いたかなど、鑑賞後に話すと盛り上がると思います。 |
キッズにはまだ難しい内容ですが、ティーンの皆さんは、グザヴィエ・ドランが演じる主人公マイケルの心情を等身大で感じられる部分もあるのではと思います。ほかのキャストたちも心に秘めたいろいろな思いがあるので、そういった心の動きに注目してみてください。何でも良いからそこに描かれた人間の心について考えてみるだけでも、日常で周囲の人の気持ちを少し理解するヒントになることもあるでしょう。 |
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©Sébastien Raymond
2015.5.26 TEXT by Myson