2013年4月27日より全国公開
熱帯美術館
公式サイト 予告編
高校生たちの日常をそのまま切り取ったような映画ですが、それもそのはず、出演者はブロンクスのコミュニティ・センターに集まる実際の高校生たちなんです。ミシェル・ゴンドリー監督は2年半かけてアメリカの若い子たちに密着して話を聞き撮影をしたそうです。ストーリーはほぼバスのなかだけで展開するのみで、子どもたちはふざけたり、しゃべったりしているだけ。でも、学校から一斉に乗った子どもたちが次々に降りて行くと、車内の様子が徐々に変わっていきます。そういう風景を見せているだけに思えるのですが、そのなかで彼らの持ついろいろな面が表れていき、観ているこちらの心情も動かされていきます。 学生の頃は、みんなが集団生活に順応しようと必死な時期ですが、若いパワーとは裏腹に、そういう頃独特の陰鬱な空気や、残酷さ、それに反して傷付きやすい純粋な面がとてもリアルに描かれていて、複雑な気持ちになりました。でも、終盤で見せる彼らの真に近い姿は希望を感じさせてくれます。いつの時代になっても年長者が若者に向かって「最近の若者はなっとらん」という心情を持つものですが、子どもたちは子どもたちなりに必死なんですよね。本作は、中学生や高校生には等身大の自分たちを客観視するのに観て欲しい作品ですが、大人も子どもたちを理解するのに参考になる映画だし、自身も学生時代の気持ちに戻って、自分の集団のなかでのスタンスについて改めて考えてみるのも良いと思います。 |
デートで観ても問題ありませんが、ムードを盛り上げる映画ではありません。ただつきあって間もないカップルの場合、この映画を観たあと「高校生のとき、どんな子だった?」とか、いろいろと学生時代の話をしやすくなるので、相手のことをより知ることができるでしょう。現在中学生、高校生のカップルは、そのまま今の自分たちについて話してみることができるので、お互いに悩んでいることがあれば打ち明けてみると、距離が縮まるかも知れませんね。 |
お察しのとおり、キッズが楽しむタイプの映画ではありません。中学生以上のティーンには通じる部分が多々あると思うので、ぜひ観て欲しいと思います。この映画を観ると、ティーンならでは集団生活の問題を客観視できます。自分に近いキャラクターがいれば、それを良しとするのか、変わりたいのかを考えてみると良いでしょう。親御さんも、子どもたちが集団になったときの心情や不安を少し体感してみることができると思います。10代になると全部親に話すというのは減るかも知れませんが、「最近、学校はどう?」とストレートに聞かず、映画の感想を通じて子どもの本音を探りだしてみるのも良いかも知れません。 |
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2013.4.25 TEXT by Myson