2013年11月15日より全国公開
20世紀フォックス映画
公式サイト 予告編
すごく哲学的な映画で好きです。麻薬取引の裏に隠された陰謀を描いた内容で物語自体は思ったより淡々と静かに進みますが、キャメロン・ディアス、ブラッド・ピット、ハビエル・バルデム、ペネロペ・クルス、マイケル・ファスベンダーという豪華な顔ぶれが揃っているので見応え充分です。マイケル・ファスベンダーが演じる弁護士(カウンセラーと呼ばれていて、本作の原題はTHE COUNSELOR)が、副業として手を出した裏稼業にどんどん生活を脅かされていく様を描いています。そのなかで「悪」とは何かを問うストーリーになっていますが、いろいろなキャラクターのセリフのなかに「悪」を定義する言葉が潜んでいて、それがとても詩的で意味深く、いろんな意味でぞぞっとしました。キャメロン・ディアスの最後のセリフもとても哲学的で、本作の本質を物語っているようでした。むしろ、悪というよりも弱肉強食の世界を人間界に置き直して描いたようにも見えましたが、いろいろな解釈ができる内容です。悪に近づいてはいけないとわかっているのに惹かれてしまう人間の心理を見事にアイロニックに描いた本作を観てゾッとする人は自覚があるということで大丈夫だと思いますが、「私は平気」と思ってしまう人に限って悪の道に引きづりこまれるんでしょうね(苦笑)。 |
冒頭からムード満点のラブシーンがありますので、ぎこちなくなるような間柄のカップルは覚悟して観てください。途中もクレイジーな性的描写が出てくるので性的トピックスが苦手な人はドン引きする可能性があります。テーマは「悪」なので直接的に映らないまでも怖いシーンがあり、前述のあらゆる点を総合的に考えてもデート向きとは言えません。一人でじっくり観るか、哲学思考の友だちと観ると語り甲斐があります。 |
意外にもR指定などはついていませんが、キッズには理解しがたい内容だし怖い描写もあります。もう少し大人になってから観ましょう。ティーンは「悪」とは何か、人はどうやって悪に引き込まれていくのかなどを客観視してみてください。これから大人になるにつれ、いろいろな誘惑が待っています。なかには悪に引き込まれるきっかけになるような甘い罠もあるでしょう。そういうことに引っかからないように、他人事と思わず、うまい話には裏がある現実と、世の中には感情で動かない根っからの悪がいることもこの映画から学び取りましょう。 |
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©2013 Twentieth Century Fox
2013.10.29 TEXT by Myson