悪に染まりたくはないけれど、悪に惹かれることもあるー。
でも悪を自覚して悪になる人と、知らぬ間に悪になっている人、悪にならざるをえない人がいます。今回は、悪の定義について考えてみます。
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<本作に観る悪の定義> |
![]() もちろん、非人道的に人を傷つける一番の悪党と呼べるキャラクターは明らかにいますが、悪の受動者だからか当事者意識に欠ける人間のほうがタチが悪いかも知れません。本作で登場するチーターが隠喩になっていると考えると、動物は善悪という概念に囚われず、生きるために獲物を殺します。人間の場合は生きるためではなく、欲望を満たすためにあらゆるものを傷つけます。「悪って一体何?」と聞かれたとき、人間の日々のあらゆる行動に悪があるとも言えます。だから、誰しも悪になりうるし、“見た目の悪”が“一番の悪”とは限らないですね。 |
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<本作に観る悪の定義> |
![]() こういった状況から生まれる悪は世の中にたくさんあります。となると私たちも知らず知らずに悪の能動者に荷担しているのかも知れません。 |
善悪の区別はきれいごとではないですね。自覚して悪に染まるとき、知らない間に巻き込まれているとき、悪を知りながら見て見ぬ振りをするとき…。悪は誰にとっても近くにあるという現実を感じます。そういう状況のなかで自分はどういう生き方ができるのか、とても考えさせられます。
2013.11.11 TEXT by Myson