2017年1月21日より全国公開
ギャガ・プラス
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本作の舞台は19世紀後半。イギリスの裕福な鉄鋼王の家庭に生まれたガートルード・ベルが、女性の社会進出がままならない時代に、華やかな社交界から抜け出し、テヘランに移った後、やがて“アラビアの女王”と呼ばれるに至った実話をベースに映画化された作品です。彼女はオックスフォード大学を女性で初めて首席で卒業するほどでしたが、だからといって“女性扱い”されることに変わりはありませんでした。それでも彼女は自ら、愛と好奇心を満たしてくれる人生を見つけ、ジェームズ・フランコが演じる恋人との物語を描いた前半はとても幸福感に満ちていてロマンチックです。一方、後半は苦渋の人生で、やはり自由に恋愛し、結婚できない、彼女の境遇が災いし、本当の意味で自分が生きる道を切り開いていく過程が描かれています。前半も後半もそれぞれ女性として共感する部分があり、愛する人との平和な人生を歩んでいければ良かったのにと思う半面、彼女は“アラビアの女王”と呼ばれる存在になるべくして導かれたのだなと思うと、何が彼女にとって幸せだったのか、自分に置きかえてもわかりません。この感覚は現代で仕事と恋愛、結婚の両立で悩む人にも共通する感覚だと思います。人は望むか望まないかに関わらず、生まれてきた使命があるとしたら、それは本人にとって幸せなのかどうか、自分の存在意義は個人のためなのか、社会のためなのか、そんなことをいろいろと考えさせられました。本作を観て出てくる“女性としての幸せな生き方”についての答えは、観た人それぞれに違うのは当然ですが、生きる糧を何から得るか、生きている心地は何から感じるか、ということは本作の主人公と同じではないかと思います。ニコール・キッドマンの年齢を感じさせない美しさもお手本にしたいということも含め、ぜひ女性に観て欲しい1作です。 |
強く生きる女性のお話なので女性は感情移入しやすいですが、男性がどんな感想を持つかは二分しそうです。でも、悲恋が描かれている点で、カップルで観ると、その切なさにお互いへの気持ちがちょっと盛り上がっちゃうこともありそう。ただ、後半の恋愛関係は社会的には健全ではないので、観るカップルの関係性によっては、「私達は主人公のような状況に比べたら、どうにかできるでしょ!」と言いたくなる微妙な空気が流れるかも知れません。 |
キッズが観ても問題はないですが、大人の恋愛や苦悩が描かれているので、人生経験が豊富になってから観るほうがより楽しめると思います。中高生くらいになれば、こういう作品でもキャラクターの心情に想像力を働かせることができそうなので、興味があれば観ると良いでしょう。特に女子は、女性の生き方に選択肢が少ない時代を知ることで、今自分がいかにやれることがたくさんあるかを実感してもらえればと思います。 |
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2017.1.4 TEXT by Myson