2017年11月18日より全国順次公開
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本作はアレハンドロ・ホドロフスキー監督の自伝的映画『リアリティのダンス』の3年後を描いた物語で、父親との軋轢や自身の葛藤を抱えたホドロフスキーが、本作では恋や友情、古い規則や制約に縛られない若きアーティスト達と出会い、交流し、囚われた檻から解放され詩人としての自己を確立してくというもの。 私自身、詩に対する知識が少ないので、詩の世界にどんどん惹かれていく主人公の気持ちを理解することはできませんでしたが、意見の合わない親元を離れ、自由を求め、さまざまな人と出会い、新しいことに挑戦していく姿はとても共感できました。でもそれをこんなにも情熱的で、生きる力を感じさせる作品として仕上げているなんて、監督の手腕を感じずにはいられません。視覚的にもかなり刺激的で、普通ならいやらしく見えるはずのセックスシーンも監督の手に掛かればアート!また、道行く人が皆同じ仮面を付けていたり、死人同然の生活をしている人の顔が真っ白に塗ってあったり、とにかくいろいろな表情や格好の人が出てくるのですが、監督の目には本当に世の中がこういう風に映っているんだろうなと感じ、人の視点の違いがアート的に表現されていておもしろかったです。 アート的な作品なので、一見難しい印象を持つ人もいるかも知れませんが、絵画を見るような感覚、もしくはアレハンドロ・ホドロフスキー監督自身の半生を覗き見るような感覚でご覧頂けたら楽しめると思います。 |
アート的とはいえセックスシーンも多く、決してわかりやすい内容ではないので、いろいろなジャンルの映画デートをして慣れているカップルでない限りは1人、もしくは映画好きの友達と観るのがオススメです。もし周りにアートに携わっている人がいたら一緒に観て感想を聞いてみたらおもしろそうです。 |
内容、描写共にキッズにはかなり刺激が強いので、大人になってから観てください。アレハンドロ・ホドロフスキー監督の青年期のお話ですが、ある程度人生経験を積んだ大人(せめて18歳以上)になってからのほうが、心に響くものがある気がします。本作の主人公は、自ら選んだ道を進んでいきますが、劇中で現在の監督(88歳)が、若かりし自分に諭すシーンがあります。現実には未来の自分が何かを教えてくれることはありませんが、親が望む道を進むのか、自らが行きたい道を進むのか、それは自分次第です。少しでも後悔しないように考えたり、周囲の意見を聞いたりしながら、それぞれの未来を切り開いていってください。 |
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■『リアリティのダンス』(前作)
© 2016 SATORI FILMS, LE SOLEIL FILMS Y LE PACTE photo:©Pascale Montandon-Jodorowsky
2017.11.15 TEXT by Shamy