2014年7月12日より全国公開
アップリンク、パルコ
公式サイト
1970年『エル・トポ』、1973年『ホーリー・マウンテン』で世界を熱狂させたアレハンドロ・ホドロフスキー。『エル・トポ』の配給権はジョン・レノンが45万ドル(当時の日本円で1億6千万円)を投じて買い、アンディ・ウォーホールやミック・ジャガー、マリリン・マンソンやジョニー・デップなど世界中のアーティストたちが彼の作品に惚れ込み、影響を受けていると言われています。そんな巨匠ホドロフスキーが前作から23年を経て85歳で撮った本作。原作は彼の自伝「リアリティのダンス」です。前述にもあるように、これだけ強烈な個性を持ったアーティストたちが影響を受けた方ですから、作品は相当強烈で当たり前です。でも想像を絶する強烈さでした(笑)。実は彼の作品を観るのは本作が初めてで驚きの連続、一番ビックリしたのは放尿のシーンでした。「CGじゃないよね?」と思えるほど大胆過ぎて唖然としましたが、こういうところでこの世界観に入り込めるか否かが分かれるのかも知れませんね。私はどっぷり引き込まれてしまいましたが、一見意味不明な描写によって表現される人間の心の動きが秀逸でした。残酷、不気味、醜い部分も描いているのにとても絵画的なので美しくも見えて不思議な感覚を味わいました。 そして、この監督の世界観を体現する俳優たちにも度肝を抜かれます。観て頂ければわかりますがいろいろな意味で「監督がありのまま描くから、俳優はありのまま演じる」ということなのだと思います。この映画には俳優のなかにも名前にホドロフスキーと付く方がたくさんいるのですが、これは監督の息子たちで、衣装デザインは奥さんが手掛けています。すごい家族ですね!凡人は生きていけない家族(笑)。 とにかくキョトンとしてしまう人は出る可能性はあるにしても、いろいろな意味で一見の価値有りです。絶対に脳裏から離れない作品です。 |
アートが好きなカップルにはオススメですが、頭が堅くて常識的な視点でしか映画を観られない方には向いていません。基本的には全くデート向きではありませんので、アレハンドロ・ホドロフスキー監督を知っている友達や、こういうタイプの作品が好きな人と一緒に行くか、一人で観るのが良いでしょう。でも、正直観終わったあとにこの衝撃を話したくなると思うので、自分の意見や感想を気兼ねなく癒える間柄の友達と行くことをオススメします。この映画は監督、俳優、衣装デザインとホドロフスキー一家が皆携わっている点で、仲が良いなら(大人同士の)兄弟姉妹、親子で観に行くのもおもしろそうです。 |
これは子どもが観たら大変です(笑)。アレハンドロ・ホドロフスキーの少年時代に重ね合わせて描かれるストーリーなので、キッズやティーンは主人公に近い立場ではありますが、刺激が強い作品で、まだ理解出来ない部分もあるので、大人になってから観ましょう。クリエイティブなセンスを刺激するという意味では18歳くらいになればこういう作品も観てみると良いのではないでしょうか。 |
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2014.7.8 TEXT by Myson