2017年3月3日より全国公開/R-18+
ファントム・フィルム
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「とうとう、ここまでやっちゃったか、パク・チャヌク!」と全力でツッコミたくなるような、とにかくスゴい作品です(笑)!いやもう、何がスゴいって、わざわざ成人指定にしてまでも、パク監督のやりたいことを全部詰め込んだ感がハンパないのです。1カット1カット、背景の細部までこだわりぬいたアーティスティックな映像美、予想もつかない裏切りの連続、度肝を抜くようなエロティックシーンの数々…。まさに、天才と変態は紙一重と言わんばかりに、「これでもか、これでもか!」と容赦なくぶっ込んできます。肝心のストーリーはというと、日本統治下の朝鮮半島を舞台に、莫大な財産の相続権を持つ美しい令嬢の秀子と、メイドとして秀子に近づこうとする孤児の少女スッキ、そして秀子の財産を狙う詐欺師が、どんでん返しに次ぐどんでん返しの騙し合いを繰り広げるという、予測不能な官能サスペンス。原作は、日本でも「このミステリーがすごい!2005年版」で第1位を獲得したサラ・ウォーターズの「荊の城」(創元推理文庫)で、韓国では公開されると同時に成人映画(R-19指定)のオープニング記録を更新し、現在もアメリカ、フランス、韓国で500万人以上の動員を記録中ということからも、いかに話題性のある作品かがおわかりいただけると思います。さらにおったまげなのが、秀子お嬢様を演じたキム・ミニと、スッキを演じたキム・テリの大胆にして妖艶な演技!果たして、日本ではここまで過激に演じられる女優さんはいるでしょうか!?キム・テリに関しては、これまで短編やCMへの出演経験はあるものの、演技経験はほとんどなしの新人だというから、驚きを通り越して感動を覚えます。さすが、パク監督。女優を見る目に狂いはありません!葛飾北斎の「蛸と海女」など、日本の芸術作品も数多く登場する本作。当時の朝鮮人の目を通した妖しげな日本文化の雰囲気や、日本人であるはずの秀子のたどたどしい日本語も、むしろ作品の味となって、パク・チャヌクの完璧な世界観を紡ぎ出していると感じるほどです。“やりすぎ感”に賛否はあると思いますが、映画ファンならばぜひ劇場で観ていただきたい一作です! |
付き合いの深さに関係なく、デートで観るには視覚的にも精神的にも刺激が強過ぎると思いますが、パク・チャヌク監督の熱烈なファンや、女性同士のカップル、あえて刺激を求めるカップルなら、本作をデートで観るのもアリでしょう。エンターテインメント性は十分ですので、観賞後は会話が止まらなくなるか、会話のなかで映画の話には一切触れなくなるかの、どちらかだと思います(笑)。ただし、間違ってもファーストデートで本作を観るのはオススメできません。女性から男性を誘った場合は、引かれる可能性や、誘惑していると勘違いされる可能性も大。デートで観るよりは、一人で観に行くか、同性同士で観るのが無難な作品です。 |
R-18+作品のため、18歳未満のキッズとティーンは観ることができません。いや、18歳になって観たとしても、とんでもなく刺激的だと思います。とはいえ、こういった作品は、きっと若いほど好奇心を煽られておもしろく感じるものだと思います。イケナイ世界を覗く感覚で、観に行ってみるのも良いかも知れません。ただし、お友達を誘う場合は相手を厳選しましょう。人によっては強烈なトラウマとなる可能性や、あなたのことを色眼鏡で見るようになる可能性もあります。 |
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2017.3.1 TEXT by min