2016年2月11日より全国公開
ファントム・フィルム
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女性同士の恋愛ストーリーと聞くと、それだけでセンセーショナルですが、もっと深い部分で女性についての物語を観られるという点で、同性愛ものという一言で片付けるともったいない作品です。舞台は1952年のニューヨーク。女性同士の恋愛などまだ認められていない時代に、男性と結婚し娘を持つキャロルが、クリスマス・シーズンのデパートでアルバイトをしていたテレーズに出会います。お互いに特別な何かを感じ取った2人は、やがて友人になり、どんどん距離を近づけていきます。目の前に求めている人がいるとなると、諦めていた人生への欲求が増していくのは当たり前のこと。キャロルに芽生えたそんな思いを裏付けるように、彼女がどれだけのことに耐え、犠牲にしてきたかが描かれていきます。そんな彼女の姿には、同性愛者かどうかに関わらず、共感する人が多いはず。本当の自分を隠すこと、意にそぐわない生き方を押しつけられること、それがどんなに苦痛なことなのか、最高の出会いが、自分の不幸を改めて実感させてしまうというのは本当に皮肉なことですが、ここで改めて2人がどういう生き方を選択するのか、ぜひ多くの女性に見守って欲しいと思います。 本当にケイト・ブランシェットが美しく、鉄の鎧のなかに弱さを隠して、強く生きようともがいているキャロルを見事に演じています。ほんと女子でも惚れる美しさとカッコ良さ。そして、ルーニー・マーラが演じるテレーズも、若さゆえの好奇心と純心さ、同時に気丈さで、キャロルの心を掴み、彼女を支える姿が凛々しくて眩しいです。女性にしかわからない繊細な描写も含め、多くの女性に堪能して欲しい一作です。 |
女同士で観るか、1人でじっくり観る方が向いている作品だとは思いますが、男性の感想も聞きたいと思える映画なので、デートで観に行ってもおもしろいかも知れません。でも、美しい2人のラブシーンがあるので、ヤキモチ焼きの人は、彼がそういうシーンに夢中になっていると、複雑な気分になることは覚悟しておきましょう(笑)。あと、彼がヤキモチ焼きで女友達との仲の良さにすらうるさい場合は、余計な心配をさせるかも知れないので、一緒に観ない方が良さそうです。 |
キッズにはどこから説明して良いのやらという部分があるので、もうちょっと大人になってから観た方が、人の心情も含め、理解が深まると思います。ティーンは問題無く理解できる内容なので、いろいろな視点で、登場人物の心情を感じ取ってください。主人公だけでなく、周囲の人達がどう考えているのかなどにも注目して、理解を得るのが難しい問題を自分が抱えたとき、どうすべきかシミュレーションしてみてください。 |
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2016.2.2 TEXT by Myson