生まれた国、時代は選べませんが、そこでの生き方に合わせるか、抵抗したり、新しい世界を探しに行くかは自分次第です。今回は、自分が望む生き方を求めてもがく主人公の物語をご紹介します。
ツイートキャロル
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<1度は諦めた生き方を思い出させる運命の出会い> |
とても美しく、身なりも整っていて、裕福な家庭の奥様というのが一目でわかるキャロルですが、どこか悲しげな表情を浮かべています。彼女は、夫と別居中で愛する娘も夫に奪われそうになっており、その原因は彼女が異性ではなく、同性を好きだからということが徐々に明らかになっていきます。男性と結婚し子どもを作って、周囲が理解できる生き方に合わせてきたキャロルですが、無理をしながらの生活がうまくいくはずもなく、唯一の宝である娘さえも奪われるかも知れない危機に直面し、難しい選択をまた迫られてしまいます。でも、テレーズとの出会いで、抑えてきた感情が甦り、自分のありのままの生き方を求める気持ちが芽生えてきたキャロル。そんなキャロルとテレーズは最後にどんな選択をするのか。自分ではどうしようもない生まれもってのモノを、時代や環境に合わせるのは本当に辛いこと。あなたがキャロルならどうするか、ぜひ本作を観て一緒に考えてみてください。 |
ディーパンの闘い
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<これくらいマシだと妥協したら終わり> |
始めはただ国外へ出るためだけに家族を装うことにした、ディーパン、ヤリニ、イラヤルの3人でしたが、命の危険にさらされてきた過酷な状況から一緒に逃げ出し、新しい生活を過ごす上で、距離が縮まるのは当然のこと。もちろん、簡単に父母娘のように振る舞えるわけではないですが、家族の振りをしているので、自ずとそうせざるを得ない状況も実際に出てきます。そんななか、突然家の目の前でギャングたちの銃撃戦が始まり、また過去の辛い体験が甦り、怯える日々がやってくるのですが、このことでせっかく家族になりかけていた3人の関係も不安定になっていきます。状況はさらに悪化し、ディーパンたちがその状況に順応するのか、何らかの行動を起こすのかが問われます。恐怖と向き合うとき、守りたいものがあるか、ないかがその理由になるんだなと本作を観て実感します。 |
どん底の生き方だと自覚しているなら、1度はもがいてみた方が良いと思います。闘う前から諦めていては、より良い生き方も見つかりません。もちろん順応するのが幸福だと思うならそれも良しですが、ここだけは曲げられないといいう部分は死守して生きるべきではないでしょうか?
2016.2.8 TEXT by Myson