2014年10月18日より全国公開
ギャガ
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本作は、モナコ大公レーニエ3世と結婚した、世紀のハリウッド女優グレース・ケリーの公妃としての人生の大勝負を描いています。王室の生活に馴染めずに女優として復帰しようかと揺れていたグレース。これだけの大スターが女優という職業を捨てて生きていくのはかなり難しかったと思いますが、結婚するってこういうことなんだなとつくづく感じました。世界的大スターであるという事実が彼女を苦しめることになるのがとても皮肉でしたが、心を決めた彼女が大公の妻として、国を守るために、大スターである彼女だからこそできる手段に出たのがとても爽快でした。元いた世界は違うにしても、やっぱりどの世界にいても“政治”はつきもので、頭の良いグレースは政治的に見せずに政治をうまく行ったという点で、レーニエ3世は然るべき人を妻にして幸運だと思います。これは単なるプリンセス・ストーリーではなく、プリンセスの戦いの物語というべきで、華やかな世界のドロドロした部分を描いたドラマです。でも、グレース・ケリーを演じるニコール・キッドマンが本当に綺麗なので観ていて息苦しくなることはなく、ドロドロしたストーリーを実に優雅に描いていて、とてもよくできた作品です。やはりお互いにどんな立ち位置であったとしても、国を動かしているのは男性だけじゃないんですよね。女性の底力を実感させてもらいました。 |
一見ロマンチックなプリンセス・ストーリーのようですが、とても見応えのある内容で、ポリティカル・ドラマとも言える要素があるので、男女ともに楽しめる作品です。女性はグレースに憧れたり勇気をもらったり、男性は自分を支えてくれる女性像をイメージする参考にするのも良いでしょう。まあグレースを参考にされると、女性のハードルがかなり上がってしまいますが、“嫁ぐ”とはどういうことか、男女両方の立場も客観視できるので、結婚しても良いかなと思える相手と一緒に観ても良いのではないでしょうか?とはいえ、舞台は王室なので、自分たちの現実に置きかえるには別世界だし、リアルに重く考え過ぎることもなく丁度良いと思います。 |
フランスとモナコの問題を表す事柄に税金の話が出てきたり、政治的な駆け引きの部分でも理解するのがちょっと難しいかも知れませんが、グレースがどれだけ努力したかということがニュアンスとしてわかれば、何かしら心に響くことがあるでしょう。プリンセスと聞くと羨ましいと思う人もいるかも知れませんが、とても責任の重い立場で、華やかな世界にいる人たちにも苦労があると知ることで、視野が広がると思います。 |
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2014.10.6 TEXT by Myson