2015年6月19日より全国順次公開/PG-12
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本作は、彼の死後50年間のあいだに語られることのなかった、セルマの行進にまつわる事実を世に伝えるべく立ち上がった人たちによって制作が実現しました。黒人差別問題についての映画はこれまでたくさんありましたが、マーティン・ルーサー・キングJr.の人生や投票権運動が主題となった映画がこれまで作られてこなかったというのは大変驚きです。そして、“ I have a dream”の演説で有名なワシントン大行進や、キング牧師のノーベル賞受賞後もこんなに過酷な現実があったと本作で知り衝撃を受けました。法律上は黒人に選挙権が許されていても、事実上は有権者登録を拒否され、裁判員なども有権者から選出されるため黒人が犯罪の被害者になっても守られないという状況が続いていたのです。その状況を変えるためにキング牧師たちは地道に活動を続けますが、デモ行進を妨害しようとする警官や兵に暴力で阻止されたり、最悪の場合は射殺されたり、本当に命がけで戦っていた様子が描かれています。でも、キング牧師の偉業を称える物語というのではなく、家族のことで悩んだり、自分の活動に他者を巻き込んで危険な状況にさらすことが本当に人のためになっているのかと弱気になる姿など、キング牧師もひとりの人間であるという描写が印象的でした。さらに「どう戦うか」というスタンスについても、攻撃的な活動を行っていたマルコムXが登場したり、同じ非暴力を謳っていてもやり方が違う学生活動家が出てきたり、黒人同士のあいだでも意識の違いがあることも描かれていて、こういった問題の複雑さがより伝わってきました。 人種差別はダメなんて当たり前のことですが、それがどうやって生まれてくるのかという根本を知ることができる内容にとても共感しました。黒人問題は私たち日本人には関係のない話ということではなく、根本はどこにでも、誰にでも通実お話のように思います。歴史を知り、人間を知る上で、ぜひ多くの方に観て欲しい作品です。 |
デート向きの内容というわけではありませんが、たまにはこういう映画を観て、社会について語り合うことで、お互いの価値観を知ることができるという面ではオススメです。「他の国で起きた昔の話でしょ」と他人事として流す人なのか、何かしら学ぶべきところを見つける人なのか、真剣交際をする相手として見極めるには良い題材だと思います。 |
黒人差別やキング牧師についての歴史を少しでも知ってから観た方が良いと思うので、中学生以上にオススメです。教科書には詳しく載っていないできごとも知ることができ、単純にテスト用の歴史の勉強ではなく、本当の意味で歴史から学ぶということができる映画です。ぜひティーンの皆さんにも観て欲しいです。これは他の国のお話ですが、「なぜ人と違うところがあるだけで差別されなければいけないのか」というテーマは、皆さんの周囲にも通じるところがあると思います。なぜ差別が生まれるのかについて本作を機に考えてみてはどうでしょうか? |
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2015.6.17 TEXT by Myson