2016年4月16日より全国順次公開
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正直なところ、観た直後は自分のなかでかみ砕けていないところが残り、不完全燃焼だったのですが、本作の邦題『グランドフィナーレ』と、原題の“YOUTH”の違いは何なのかを考えてみたら、言わんとしていることが少し見えてきたような気がします。“グランドフィナーレ”という言葉のイメージから、マイケル・ケインが演じる名指揮者のフレッド・バリンジャー、ハーヴエイ・カイテルが演じる映画監督ミック・ボイルの人生の終わりにフォーカスして観るおもしろさもあれば、原題の“YOUTH”という言葉のイメージで、ポール・ダノが演じたジミー・トリーや、レイチェル・ワイズが演じたレナ・バリンジャーのストーリーにも解釈を広めると全体像が少し違って見えるというおもしろさもあります。皆何かに縛られて生きているのですが、年齢的に死を間近に意識している人間と、これからも人生が長く残っている人間と、いずれにしても“今まで生きてきた人生の幕”をどう下ろし次に進んでいくのか、4人のキャラクター達の姿に観る人によっていろいろな感情が湧くと思います。フレッドとミックが対比的に描かれていて、ラストの皮肉な展開がとても印象に残っていますが、老いだけでなく、長いキャリアがどう人生に作用するのかを描いている部分もすごく興味深かったです。老後に待っているのはお金や健康の問題だけではないですね。フレッドとミックのように一途に一つの道で生きているプロにも別の苦しみがあるという解釈をすると、ある意味、未来をシミュレーションできる映画です。 |
明るいストーリーではないし、ロマンチックな要素もあまりないので、デート向き映画とは言えません。途中、ダイナマイト・ボディの美女がヌードになるシーンも出てくるのですが、男子の釘付け具合を想像すると、敢えて彼氏、旦那のそういう表情を目撃したくはないですよね(笑)?映画も少々解釈が難しいタイプなので、普段映画もあまり観ない、本もあまり読まないというタイプの相手だとより向いていない作品です。1人でじっくり観るか、気兼ねしない友達を誘いましょう。 |
抽象的な描写も多く、完全に大人向けのテーマなので、無理にキッズやティーンの皆さんにオススメするつもりはありませんが、解釈できる部分も必ずあると思うので、今の若い皆さんの心情でどう見えるのか試しに観てみるのはアリだと思います。映画は観るときの年齢や人生の経験値、心の状態によって見え方も感じ方も変わります。今わからないことでも、大人になってから観てみると少し理解できるようになったりするので、今観てピンとこなくても気にしないでください。 |
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2016.4.12 TEXT by Myson