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2019年3月1日より全国公開
ギャガ
公式サイト
 “愛と憎しみ”、“陰と陽”がいかに紙一重なのか、セリフ一つで観る者をハッとさせるものが詰まった作品。本作は実話をもとにしており、黒人の天才ピアニスト、ドクター・シャーリーと、彼の用心棒兼運転手でイタリア系のトニー・リップの物語ですが、黒人差別だけでなく、人種の違いや、貧富の差など、あらゆる要素がお互いに対する歪んだ視点をもたらしていることに気付かされます。ドクター・シャーリーは、教養がありとても洗練されていて、音楽界で成功を成した人物。でもだからこそ“黒人側でも白人側でも浮いてしまう”というセリフに表現されていたように、彼が孤立し、孤独を抱えている姿にはとても胸が痛みました。他にも数々のセリフやシーンから、私達が無意識に人種で一括りにしたり、裕福か貧しいかで一括りにしたり、ステレオタイプなイメージを自分の中に持ってしまっていると自覚させられ、学びとなるショックを多く受けました。でも、それだけなら悲しくて切ないだけの話なのですが、すごくユーモアが詰まっていて、心が温まる作品になっている点が、本作をより魅力的にしていると思います。作品全体から、ドクター・シャーリーと、トニー・リップの人間としての温かさ、明るさ、優しさが伝わってくるのですが、こういう人達がいるから、まだ世界には希望が残されているんでしょうね。そして、演出、脚本も見事ながら、主演のヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリが最高！ヴィゴ・モーテンセンは、私の中では未だに“ロード・オブ・ザ・リング”のアラゴルンのイメージがあるのですが、今作ではそんな印象は微塵もないくらいに身体から改造し、イタリア系のしゃべり方まで本当にリアルに演じていました。マハーシャラ・アリも、こんなに複雑な役を丁寧に演じていて、その演技力とセンスに感服しました。観なければ絶対に損をする、傑作です。 |
 私達がいかに無意識に、よく知らない人をステレオタイプなイメージに当てはめて観察してしまっているかが実感できるストーリーで、ドクター・シャーリーとトニー・リップが、お互いに知れば知るほど、相手の良さをわかり、絆を強くしていく姿は、恋愛にも当てはまる部分があるのではと思います。基本的に男性2人の友情物語ではありますが、ドクター・シャーリーのお供で旅に出ているリップが、奥さんに手紙を書くシーンがとても効果的に使われていて、カップルで観るとより微笑ましく観られて、優しいムードになれると思います。 |
 130分という上映時間なので、キッズは集中力が持つかが鍵となりそうですが、物語は老若男女問わず刺さる内容なので、ぜひ皆さんにも観て欲しいと思います。アメリカであった本当の話をもとにした映画ですが、アメリカに限らず、どんな国のどんな時代の人が観ても、共感できる普遍的なドラマが描かれています。本当の友達って、こういうのだなと思えるはずなので、もっと仲良くなりたい友達を誘ってみるのはどうでしょうか。 |
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2019.2.13 TEXT by Myson
