2011年8月27日より全国公開
東宝
公式サイト
医師として人の命を救う方法として「多くを救う治療法を研究する立場で活躍する」もしくは「患者を直接治療してその人にあった方法で“救う”」という方法とどちらを取るか…という深いテーマを描いた作品。大きな病院ではお手上げだと言われた一人の女性患者との出会いで主人公は医師としての生き方を今までよりも真剣に考えていきます。前途洋々に見える主人公ですが、途中のシーンで“医者になる夢が叶っても、思って描いていた毎日を送っているわけではないし、次に何をすれば良いのかわからないと思うこともある”というようなセリフがあるのですが、ここがすごく共感しました。他者からみて医者になったことでうらやましがられ、「もう夢は叶って君は勝ち組だね」と思われても、本人には焦燥感があったり、思い描いていたものと違っていたけれど後戻りもできないと苦しんでいるかもしれないし、夢は叶ったはいいけどもっとプレッシャーの多い大きなことが待ち受けていて疲弊していたり…。初心に持っていたものが、夢が叶って忙しい毎日を過ごすことで忘れられ、またそれを思い出すできごとにぶつかって…、そんな主人公の様子をみて、自分自身もすごくいろいろなことを考えました。何かを成し遂げたいと思ったとき、誰かが正しいと思うこと、すごいと思うことではなくて、自分がやりたいと思うこと、こうであるべきと思うことをやるべきなんだ、そんなことを再確認させてくれた一作でした。 |
医師としての今後の生き方に迷う主人公とそれを支える妻。それぞれに自由に過ごしていつつ、お互いを静かにちゃんと見守っているという雰囲気がとても伝わってきて、カップルや夫婦にとっては良いお手本になりそうなキャラクターが登場します。患者の生き方とどう向き合うか、医師としてどう貢献するか、かなり真剣なテーマなので気楽にふらっと観るような内容ではないですが、「今日はこれを観に行こう」と決めて、真面目に観て鑑賞後に語るには良いテーマの作品だと思います。映画について語り合うのが好きなカップルにおすすめです。 |
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©映画「神様のカルテ」製作委員会 ©2009 夏川草介/小学館
2011.7.30 TEXT by Myson